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凍てつく寒さの冬がやってきた!お風呂でのヒートショックに気をつけて!

【大阪/梅田】大阪駅前の総合内科クリニック|西梅田シティクリニックがお届けする健康情報。
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冬が深まると、家の中と外の寒暖差がより一層激しくなります。
この時期に特に気をつけたいのが、近年問題になっている「ヒートショック」と呼ばれる現象です。
急激な温度変化により血圧が変動し、心臓や血管に大きな負担がかかるこの現象は高齢者を中心に命に関わる重大な事故を引き起こすことがあります。
お風呂場や脱衣所といった寒暖差が発生しやすい場所では、誰にでもヒートショックの危険性があります。
本記事では、ヒートショックの基本的な仕組みから、予防策、家庭で実践できる対策チェックリストまで、安心して冬を過ごすためのポイントをご紹介します。

ヒートショック現象とは?

ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、心臓や血管に負担がかかる現象を指します。
特に冬場において、寒い場所から暖かい場所、あるいはその逆へ移動する際に発生しやすく、
血圧の急激な上昇や下降が原因で心筋梗塞や脳梗塞、失神などの危険な症状を引き起こすことがあります。

高齢者や持病を抱える方は血圧調節機能が低下しているため、若年層に比べてヒートショックのリスクが高まります。
日本では毎年多くの方がこの現象による健康被害を受けており、特に入浴中や浴室での事故が頻発しているため注意が必要です。

日本におけるヒートショックの実情

日本では年間約19,000人がヒートショックによる入浴中の事故で亡くなっていると推計されています。(厚生労働省データより引用)
特に冬場はその割合が高くなり、全体の60%以上が1〜3月に集中すると言われています。
この数字は交通事故による死亡者数の約4倍に上るため、社会全体での対策が求められています。

入浴時に特に起こりやすい!高齢者は気をつけて

ヒートショックが発生しやすいのは、冬の入浴時です。
浴室や脱衣所は室温が低く、そこに熱いお湯に浸かることで体に急激な温度変化がもたらされます。
この結果、血圧が急上昇したり急降下したりして、心臓や脳に負担をかけるのです。

高齢者は特に注意しよう!!

高齢者の場合、年齢とともに血管が硬くなり、血圧を調整する力が低下します。
また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を抱える方も多いため、ヒートショックの影響を受けやすくなります。

ヒートショックの主な発生シチュエーションとは?

1. 寒い脱衣所で服を脱ぐ

衣服を脱ぐことで体温が急激に奪われ、血管が収縮して血圧が上がります。

2. 冷えた体で熱い浴槽に浸かる

血管が急激に拡張し、血圧が大きく下がります。

3. 入浴後に湯冷めする

温まった体が急速に冷えると再び血圧が上昇します。
高齢者や持病を持つ方が浴室内で倒れるケースは、これらの急激な血圧変動が主な原因とされています。
とくに、心臓や脳の血管に持病を持つ方は、健康な方よりもさらに気をつける必要があります。

ヒートショックはなぜ起こる?

ヒートショックが起こるのは、温度差による血管の収縮や拡張が原因です。
寒い環境では血管が収縮して血圧が上がり、逆に暖かい環境では血管が拡張して血圧が下がります。
この血圧の変動が短時間で繰り返されることで、心臓や血管への負担が増大します。
さらに、加齢や生活習慣病(高血圧や糖尿病など)があると、血管が硬くなるため柔軟に対応できず、リスクが高まります。
特に冬場の浴室では、冷えた空気と温かい湯気が混在するため、血圧変動が起こりやすい環境が整っています。

ヒートショック予防のポイント

ヒートショックを防ぐためには、家庭内の寒暖差を減らすことが大切です。
また、入浴方法や家族間での声掛けも事故防止に役立ちます。
以下のポイントを抑え、安全に入浴を行いましょう。

家の中の温度を一定に保つ

①脱衣所や浴室を暖める
 脱衣所にはポータブル暖房機や浴室暖房機を設置し、室温を20℃以上に保つと安心です。

②部屋間の温度差をなくす
 リビングと脱衣所、浴室の温度差が少ないほど体への負担が減ります。

適切な入浴方法を守る

①ぬるめのお湯に浸かる
 38〜40℃程度のぬるめのお湯が理想的です。42℃以上のお湯は血圧の急な変動を招くおそれがあるため避けましょう。

②湯船に入る前にシャワーで体を温める
 冷えた体を徐々に温めることで、急激な血圧変動を防げます。

③短時間で入浴を終える
 長時間の入浴は血圧の調整が難しくなるため、10〜15分以内を目安にしましょう。

入浴中や入浴後にできる安全対策

①家族と声を掛け合う
 高齢者が一人で入浴する場合、家族に「声をかける時間」を決めてもらうと安全です。

②湯冷めを防ぐ
 入浴後はタオルやバスローブでしっかり体を包み、冷えないように注意しましょう。

あなたのお家は大丈夫?ヒートショック予防チェックリスト

冬場の入浴環境は家庭ごとに異なります。
以下のチェックリストを使って、自宅のヒートショック対策を見直しましょう。

1. 脱衣所に暖房を設置しているか?

ポータブル暖房を利用すると簡単に温度調整が可能です。
小さいものでも構いませんので、暖房器具を脱衣所に設けていると安心です。

2. 浴室を事前に暖めているか?

入浴前に、シャワーを壁や床にかけて浴室全体を温めましょう。

3. お湯の温度が40℃以下になっているか?

38〜40℃くらいの適切な温度になっているか確認しましょう。
熱すぎる温度は血圧変動の原因となります。

4. 高齢者が一人で入浴しないようにしているか?

家族がいる場合、声掛けをおこなうように心がけましょう。

5. 入浴後の湯冷め防止策を実施しているか?

厚手のタオルやスリッパを準備しておくと便利です。

ヒートショックは冬場の家庭で起こりやすい危険な現象ですが、正しい知識と対策を取ればそのリスクを大幅に減らすことができます。
特に高齢者や持病を持つ方がいる家庭では、温度差の調整や入浴の工夫を取り入れることで、安全で快適な冬を過ごすことが可能です。
家族みんなで「温かさ」と「安全」を意識しながら、この冬を乗り切りましょう!