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8年ぶりの大流行!?マイコプラズマ肺炎とは

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2024年、日本で「マイコプラズマ肺炎」が8年ぶりに大流行しています。
この病気は別名「オリンピック肺炎」とも呼ばれ、4年ごとに流行することが知られていますが、
今回は特に長期間にわたって今まで低調な流行状況が続いた後に、今年に入って急増しています。
パリオリンピックやパラリンピックが開催された今年、異例の大流行として急激に感染者数が増加し、小児や若者を中心に多くの感染報告がされています。
あまり認知度が高い方ではないマイコプラズマ肺炎は、風邪との違いが見分けづらいこともあり、発見や診断が遅くなってしまうケースも多いでしょう。
今回はマイコプラズマ肺炎について詳しく解説していきたいと思います。

マイコプラズマ肺炎の原因と症状

マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)」という細菌によって引き起こされる感染症です。
この細菌はウイルスのように小さく、通常の細菌とは異なり、細胞壁を持たないため、ペニシリンなどの特定の抗生物質が効きにくい特徴があります。
主に飛沫感染(やくしゃみなど)や接触感染によって広がり、特に学校や家庭内での感染が目立ちます。

マイコプラズマ肺炎は年間を通して見られますが、特に秋から冬にかけて患者数が増加する傾向があります。
例年の患者報告では、約80%が14歳以下の小児ですが、成人にも感染が広がることがあります​。

初期症状は風邪に似ており、発熱、喉の痛みなどが見られますが、最大の違いは咳が非常にしつこく続くことです。風邪では通常、症状が1週間程度で改善することが多いのに対し、マイコプラズマ肺炎の場合、熱が下がった後も咳が3~4週間続くことがあります。
さらに、頭痛や倦怠感も伴い、重症化すると肺炎や胸膜炎、中耳炎などの合併症を引き起こすこともあります。

         

風邪との違いは?

マイコプラズマ肺炎と風邪は症状が似ているため見分けがつきにくいことがあります。
ではどのようにして風邪と見分ければいいのでしょうか?
それぞれの特徴を知っておきましょう。

風邪マイコプラズマ肺炎
症状の持続1週間程度で改善することが多い咳が長期間続く
合併症のリスク通常、重大な合併症は発生しない重症化し、肺炎や他の合併症を引き起こす可能性がある
治療の違い通常、安静と水分補給で自然に治る抗生物質(マクロライド系など)を用いた治療が必要
安静にしていても悪化する可能性も高く、なかなか治らないため、増悪する前に病院に行く必要がある

マイコプラズマ肺炎の治療法は?

マイコプラズマ肺炎は、通常、抗生物質(マクロライド系、テトラサイクリン系、あるいはニューキノロン系)によって治療されます。
ただし、最近では抗生物質に対する耐性を持つマイコプラズマも確認されており、特にマクロライド系が効かない「耐性菌」が問題視されています。
この場合、他の抗生物質を用いることが推奨されています​。

治療を始めた場合でも、咳が長引くことが多く、完全な回復には時間がかかります。
そのため、症状が改善しない場合や重症化が疑われる場合は、医療機関で適切な診断と治療を受けることが重要です。
特に小児や高齢者、免疫力が低下している人々は早期に医師の診察を受けることが推奨されています。

マイコプラズマ肺炎の予防方法は?

 マイコプラズマ肺炎は飛沫感染と接触感染によって広がるため、以下の対策が重要です。

手洗いの徹底

流水と石鹸での手洗いは感染を防ぐ基本的な方法です。
特に外出後や公共の場に行った後は、こまめな手洗いを行いましょう。

咳エチケット

咳やくしゃみをする際には、ティッシュや袖口で口を覆い、他人に飛沫が飛ばないようにします。
また、使用後のティッシュはすぐに捨て、手を洗うことが大切です​。

タオルの共用を避ける

家庭内や施設内での感染を防ぐために、タオルや食器類を共有しないようにしましょう。
特に感染者がいる場合は、共有物の使用を避けることが推奨されています​。

その他の対策

特に学校や保育園などでの集団感染を防ぐため、定期的な手洗いや消毒、感染者が出た場合の早期隔離が推奨されています。
また、家族や周囲に感染者がいる場合は、接触をできるだけ避け、適切な予防策を講じることが大切です。

予防接種などは?

残念ながら、マイコプラズマ肺炎に対する特定の予防接種は現在のところ存在しません。
そのため、基本的な生活習慣を見直し、免疫力を高めることが重要です。
バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動が免疫力の向上につながります。
マイコプラズマ肺炎は、風邪とよく似た初期症状を持ちながらも、咳が長引き、合併症を引き起こす可能性があるため、軽視することはできません。
特に2024年の大流行では、学校や家庭内でのクラスター発生が問題となっており、早期診断と適切な治療が重要です。
マイコプラズマ肺炎の流行は今後も続くと予想されており、特に小児や高齢者、免疫力の低下した人々は注意が必要です。

予防策を徹底し、早期発見・早期治療を心がけることが、感染拡大を防ぐ鍵となります。
そろそろ夏も終わり、本格的に風邪やインフルエンザなどが猛威をふるう季節になってきます。
手洗い・うがいをしっかり行い、健康に過ごせる毎日を目指していきましょう。