性病の知識

風俗店を利用すると性病になる?!

赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

「風俗」と聞くと、みなさんはどのようなイメージを膨らませますか?
女性の風俗店キャストが男性のお客さんに性的サービスを提供するお店、と考える方が多いのではないでしょうか。
最近では、男性の風俗店キャストが女性のお客さんに性的サービスを提供する「女性用風俗」が増えており、男女ともにニーズのあるサービス業と言えます。
しかし、風俗を利用することで性病感染のリスクが高まることはご存知でしょうか…?

風俗業界の性病事情

風俗とは元々、衣・食・住や行事など様々な”風習”や”しきたり”を総合的に指した言葉ですが、最近では性接待をする性風俗特殊営業のお店、という意味で使われています。
主にソープやデリヘル・ホテヘル、ピンサロと言われるものがこれにあたります。

風俗を利用したからといって必ず性病に感染する、という訳ではありません。
しかし、風俗店のキャストは職業上、月に何十人ものお客さんを相手にしています。
不特定多数の人と密な行為を繰り返し行うため、感染の機会が非常に多いのです。
しっかりした店舗では定期的な検査を実施している場合もありますが、実際、検査を実施していない店舗があったり、検査結果が陽性でも隠している場合があるのが現状です。

性病検査を実施していても結果が出るまでの間に感染してしまったり、感染~発症と検査のタイミングによっては感染していても検査結果が陰性となる場合もあります。
定期的に検査をしていても100%安全!とは言い切れないのです。
実際、感染者数の半数以上が風俗の利用歴・従事歴があり、風俗を通じての感染が多いとされています。
そのため、風俗店を利用すると性病感染のリスクは高くなると言われます。

近年急増している梅毒感染者

ここ数年、「梅毒感染者が急増している」というニュースを目にすることが多かったかと思います。
2023年の梅毒感染者数は10年前の感染者数のおよそ10倍と急激に増えているのです。
なぜこれほどまでに増えているのでしょうか。

  1. コロナ禍の影響
    新型コロナウイルスの流行により、風俗店の利用者数は激減しました。
    これは密閉空間・密集場所での接触を避けるためです。
    これによって、集客のために避妊具を使わないなどの過剰なサービスを行うお店が増えたのです。
     
  2. 個人売春の急増
    コロナの影響で職を失った女性が風俗で働こうとしても、風俗利用者が減っているためお金を稼ぐことができなかったのです。
    SNSの普及も相まって、男性と食事をすることでお金を提供してもらう「パパ活」をする女性が急増しました。
    どんどん相手の要望と金額がエスカレートし、個人売春へと繋がるケースが相次いでいます。
    個人売春をする人は風俗店に属していないため、定期的な性病検査を受けておらず、性病を持っている可能性があります。
    また、性病感染の自覚があってもお金欲しさにそれを隠して性交渉を行っている場合もあります。
     
  3. マッチングアプリの流行
    近年では、オンラインで「恋人」や「結婚相手」の候補となる相手を探すことができるマッチングアプリの利用が一般化していることにより、不特定多数の人と性交渉をする人が増えているとされています。
    これも梅毒感染者が急増している理由の一つと言って良いでしょう。
     

梅毒とは?

梅毒の病原体である梅毒トレポネーマは体液に含まれており、感染経路の多くが粘膜を介する性的な接触と言われています。
初期症状であるできものやリンパ節の腫れは時間と共に自然と消えるため、自然治癒すると思われがちですが、この考えが非常に危険です。

梅毒は治療せずに放置すると、皮膚や骨、筋肉などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生する可能性があります。
また、感染から10年以上経過すると末期の状態となり、病原体が中枢神経まで侵入してしまいます。
すると脳や心臓、血管など様々な臓器へ悪影響を及ぼし、臓器が壊死してしまったり、脳や脊髄が侵されることによる身体の麻痺や神経障害、最悪の場合は死に至ることもあります。

女性は妊娠中に感染してしまうと、胎児にも感染してしまい、流産や死産、早産になる恐れがあります。
また、”先天梅毒”といい、生まれてくる子どもの脳や神経に異常をきたす場合もあります。

現代では、ペニシリン系抗菌薬の内服や点滴によって治療され、早期発見により完治が可能な病気となりました。
避妊具を利用すれば必ず感染が防げるという訳ではありません。
不特定多数の人との性交渉は控え、定期的な性病検査を受けるようにしましょう。

正しい知識を持つことで感染予防を

梅毒感染者が急増している要因の一つに、性病の正しい知識を持つ人の少なさが挙げられます。
「症状が出ていないから大丈夫」
「薬を飲んでいれば完治していなくても大丈夫」
そう思ってはいませんか?

性病は治療しない限り治ることはありません。
また、一度感染しても免疫ができないため、何度でも感染する恐れがあります。

性病に感染しないためにも、正しい知識を身につけ、ひとりひとりが予防意識を持つことが重要となります。
風俗を利用する際も、風俗店のキャストは性病検査を受けているから大丈夫だと思わず、自身も定期的な性病検査を受けることを心掛けましょう。

潜伏期間はもちろん、感染後でも自覚症状がない場合が多く、自分では気付かない間に自分から他人へ、他人から自分へと感染が拡大してしまう恐れがあります。
症状がなくても心配なこと、不安なことがあれば検査を受けるようにしましょう。

◆性感染症内科/西梅田シティクリニック:https://nishiumeda.city-clinic.jp/std/ 

監修医師紹介
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
医療法人 星敬会 理事長
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