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乳がん

乳がんとは

乳がんとは、乳房にある乳腺にできる悪性腫瘍のことです。
日本では乳がんの患者数が年々増加しており、女性がかかるがんの中で最も多いがんとなっています。
現在は年間約9万4千人もの日本人女性が乳がんと診断され、一生のうち9人に1人が乳がんになるとも言われます。
乳がんは中高年の女性に多くみられますが、近年は若い世代でも発症が増えており注意が必要です。
また女性特有の病気と思われがちですが、男性にも稀ながら発生します。
乳がんは恐ろしい病気ではありますが、早期に発見し適切に治療すれば90%以上が治癒可能とされており、決して治らない病気ではありません。
種類(サブタイプ)によって治療法が異なり、ホルモン受容体陽性、HER2陽性、トリプルネガティブなどに分類されます。
早期発見のためにはマンモグラフィや超音波検査が重要です。
安心して治療に臨めるよう、正しい知識を身につけておきましょう。

乳がんの症状

代表的な症状は乳房の「しこり」です。
乳がんのしこりは硬く石のように感じられ、基本的に痛みはほとんどありません。
ただし、触れることのできるしこりがあっても必ずしも乳がんとは限りません。
乳房に痛みがある場合でも、はっきりしたしこりを伴わない場合は多くが良性の乳腺症で、乳がんによる痛みであることはまれです。
一方で、乳房にえくぼ状のくぼみ(皮膚のひきつれ)や皮膚の発赤、乳頭の陥没など、乳房の形状や皮膚の変化にも注意が必要です。
また、乳頭から血の混じった分泌物が出ることも乳がんのサインの一つです。
これらの症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。
乳がんは痛みを伴わないことが多いため、「痛くないから大丈夫」と自己判断せず、気になる症状があれば検査を受けることが大切です。
特に血尿は膀胱がんを含む泌尿器系の異常のサインですので、「痛くないから大丈夫」と自己判断せず医師の診察を受けてください。

乳がんの原因

乳がんの明確な原因はまだ分かっていません。
しかし、発症のリスクを高める危険因子はいくつか明らかになっています。
なかでも女性ホルモンの影響が重要で、女性ホルモンが乳腺に作用する期間が長いほど乳がんの発生リスクが高まるとされています。

具体的なリスク因子

  • 初潮が早かったり閉経が遅かった女性
  • 生涯で出産を経験していないまたは初産年齢が遅い女性
  • 授乳経験がない場合

また、閉経後の肥満や飲酒習慣もリスクを高める要因です。
さらに、近親者に乳がん患者がいる場合や、過去に乳がんや良性の乳腺疾患になったことがある場合も注意が必要です。


一方で、こうした危険因子がなくても乳がんになる人もおり、誰でも発症しうる病気といえます。
なお、全乳がんの5~10%程度は遺伝的素因が関与するとされ、BRCA1/2(ブラカ)遺伝子の変異などが原因で起こる遺伝性乳がんもあります。
自分や家族の乳がん歴によっては専門医に相談し、必要に応じて遺伝子検査やカウンセリングを受けることが推奨されます。

乳がんの治療

乳がんの治療法には様々なものがありますが、大きく分けて「手術」「放射線療法」「抗がん剤」「ホルモン療法」「分子標的治療」などに分類できます。
患者さん一人ひとりの病状に合わせて、これらを組み合わせて治療を行います。

ステージ別の乳がん治療

基本的には、腫瘍を外科的に切除する手術が治療の中心となります。
早期の乳がん(ステージⅠ~Ⅱ)であれば、まず手術でがんを取り除き、必要に応じて再発予防のため術後に放射線照射や抗がん剤・ホルモン剤を追加するのが標準的な治療です。
進行した乳がん(ステージⅢ)では、腫瘍を小さくするために手術前に抗がん剤治療を行うこともあります。
遠隔転移のある進行例(ステージⅣ)では、手術でがんを完全に取り切ることが難しいため、抗がん剤やホルモン剤による薬物療法が治療の中心となります。

手術療法

手術療法には、がんの部分だけを切除して乳房を残す乳房温存手術と、乳房を全て切除する乳房切除術があります。
近年は乳房温存手術が増えていますが、温存手術後は残した乳房内に目に見えないがん細胞が残存する可能性があるため追加で放射線治療を行うのが一般的です。
一方、乳房切除術では再発リスクは低くなります。
乳房切除後でも、希望があれば形成外科的な乳房再建手術で乳房の膨らみを作ることも可能です。
手術の際には、腋の下のリンパ節にがんが広がっていないか確認するため、腋窩リンパ節の切除やセンチネルリンパ節生検も行われます。

薬物療法

薬物療法には、点滴などで投与する抗がん剤治療と、内服薬などで行うホルモン療法、そして分子標的薬による治療があります。
抗がん剤治療は、乳がん細胞を強力に攻撃して死滅させる治療で、手術後の再発予防や進行・再発乳がんの治療に用いられます。
ホルモン療法は、女性ホルモンの働きをブロックする薬を使う治療で、エストロゲン受容体やプロゲステロン受容体を持つ乳がんに効果を発揮します。
乳がんの70~80%はホルモン受容体陽性タイプであり、こうしたタイプではホルモン療法が再発予防や治療の柱となります。
一方、HER2受容体という増殖シグナルを出すタンパク質が過剰に発現しているHER2陽性乳がんには、抗HER2抗体といった分子標的薬がとても有効です。
この治療法によりHER2陽性乳がんの予後は大きく改善しました。
さらに、ホルモン受容体もHER2も持たない乳がんをトリプルネガティブ乳がんと呼びます。
トリプルネガティブ乳がんは全乳がんの15~20%程度を占める種類(サブタイプ)で、ホルモン療法や抗HER2療法が効かないため抗がん剤が治療の中心になります。
また、このタイプは進行が速く再発リスクが高い傾向があり、他のタイプに比べて予後がやや不良とされています。
近年は免疫療法など新たな治療も一部のトリプルネガティブ乳がんで導入されつつあり、治療成績の向上が期待されています。

このように乳がんは種類(サブタイプ)や進行度によって、効果的な治療法が異なります。
主治医から自分の乳がんのタイプや治療方針についてしっかり説明を受け、自分に合った治療法を一緒に選んでいきましょう。

早期発見のポイント

乳がんは早期には自覚症状がほとんどないことも珍しくありません。
症状が出てからでは進行している可能性もあるため、症状がなくても定期的に検診を受けることが重要です。

日本では、40歳以上の女性は2年に1回の乳がん検診(マンモグラフィ検査)を受けることが推奨されています。
マンモグラフィは、痛みのない小さながんや石灰化も発見できる有効な検査です。
必要に応じて乳腺エコーなども併用されます。
乳がん検診の受診率はまだ高くありませんが、乳がんは早期発見によって90%以上が治癒可能であり、検診を受けるメリットは非常に大きいです。
また、日頃からご自身で乳房の状態をチェックする習慣も早期発見に役立ちます。
実際、日本人の乳がん患者さんの初発症状の約8割は自分で気づいた乳房のしこりだという報告があります。
入浴時などに乳房に触れてみて、しこりや皮膚の変化がないか定期的に確認しましょう。
自己チェックを行うことで「いつもの自分の乳房の状態」を把握でき、異常の早期発見につながります。
もし普段と違うしこりや異常を感じた場合には、自分で判断せず必ず専門医を受診して検査を受けてください。
「しこりが2cm以下のうちに発見できれば9割が治る」とも言われます。
検診の受診と自己チェックの二本立てで、乳がんの早期発見に努めましょう。

予防の基礎知識

乳がんには確実な予防法はありませんが、発症リスクを低減するためにできることはあります。
以下に、乳がん予防に役立つ方法を紹介します。

  1. 適度な運動
    運動は乳がん予防に有効であることが多くの研究で示されています。
    特に定期的な有酸素運動は、乳がんリスクを下げるために役立ちます。
    運動により体重の管理が容易になり、肥満が乳がんのリスク因子であることを考えると、運動は非常に効果的です。
  2. 健康的な体重の維持
    肥満は乳がん、特に閉経後の乳がんのリスクを高めることが知られています。
    閉経後は体内の女性ホルモンが主に脂肪細胞から分泌されるため、肥満が乳がんの原因になると考えられています。
    健康的な食事と運動で、適正な体重を維持することが予防には重要です。
  3. 飲酒の制限
    飲酒は乳がんのリスクを高めることが確認されています。
    特に1日にアルコール1杯以上を摂取すると、乳がんリスクがわずかに増加します。
    飲酒量を控えることでリスクを低減できます。
  4. 授乳の推奨
    授乳は乳がんのリスクを低減することが知られています。
    長期間の授乳は、乳腺に変化をもたらし、がん細胞が発生するリスクを減らすとされています。
    出産後、可能であれば授乳を行うことが乳がん予防につながります。
  5. ホルモン補充療法の使用に注意
    更年期症状の緩和を目的としたホルモン補充療法は、乳がんのリスクを高めることがあります。
    特に女性ホルモン単独のホルモン補充療法はリスクを増加させるため、ホルモン補充療法の使用を必要最小限にとどめることが推奨されます。
    ホルモン補充療法を使用する際は、医師とリスクについてしっかり相談することが大切です。
  6. 乳がん検診の受診
    乳がん検診を受けることは早期発見に繋がり、早期発見によって乳がんは治療可能な病気となります。
    40歳以上の女性はマンモグラフィ検査を定期的に受けることが推奨されています。
    検診により早期の段階でがんを発見できれば、治療の成績が大きく向上します。
  7. 遺伝的リスクがある場合
    乳がんは遺伝性の要素もあるため、BRCA1やBRCA2遺伝子変異を持つ人は乳がんの発症リスクが高いとされています。
    遺伝カウンセリングを受けたり、必要に応じて予防的な手術を検討することが、リスク低減の一環となります。

以上の予防策を日常生活に取り入れることで、乳がんのリスクを下げることができます。
乳がんのリスクを完全に排除することはできませんが、早期発見や健康的な生活習慣を心がけることで、発症リスクを減らし、早期に治療を開始できる可能性が高くなります。

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