2025.12.09
コラム

シニアの海外旅行も安心!高齢者が考えるべきトラベルワクチン

 

海外旅行は人生の楽しみのひとつですが、高齢の方や持病をお持ちの方にとっては感染症や体調不良のリスクが高まります。現地の衛生環境や気候の違いに備えるためにも、渡航前のトラベルワクチン接種と健康管理は欠かせません。
本記事では、シニア世代が特に注意すべき感染症リスクと、安心して旅行を楽しむためのワクチン・健康対策について解説します。

 

高齢者の海外旅行で気をつけるべき健康リスクとは?

高齢の方や持病がある方が海外旅行をする際には、若い世代以上に様々な健康リスクに注意が必要です。
まず考えられるのは感染症のリスクです。
海外には日本ではあまり見られない病気や、日本国内よりも感染しやすい病気が存在します。
特に衛生環境が異なる地域では、食べ物や水を介した胃腸の感染症(旅行者下痢症)が多くなります。

A型肝炎ウイルスコレラ菌による感染症は、発展途上地域で広く発生しており、加熱が不十分な食事や衛生的でない水によって感染する可能性があります。

また、蚊やダニ、動物を介した感染症にも注意が必要です。
熱帯・亜熱帯地域では蚊が媒介するマラリアデング熱が広く流行しており、高齢の旅行者が感染すると持病の悪化や合併症により深刻な事態になりかねません。
同様に、動物との接触による狂犬病のリスクも忘れてはいけません。
日本では長らく狂犬病の国内感染例はありませんが、世界的には多くの国で発生しています。

さらに、高齢者・持病がある方特有のリスクとして、長時間の移動や環境の変化による体調不良も挙げられます。
飛行機で長時間座りっぱなしになると、エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)の危険があります。
加えて、時差や気候の違いといった旅行中のストレスで体の抵抗力が落ち、普段は安定している持病が悪化したり、高山や酷暑の地域では体調を崩しやすくなります。

 

シニア世代が優先的に接種すべきトラベルワクチン

海外旅行前に検討したい主なトラベルワクチンを、高齢者や持病のある方に特に重要なものを中心に紹介します。

ワクチン名 感染経路・特徴 接種のポイント
A型肝炎
ワクチン
汚染された食べ物や水を介して感染 発展途上国ではリスクが高く、70歳以下の抗体保有率が低いため接種推奨
B型肝炎
ワクチン
血液や体液を介して感染 3回接種で長期免疫が得られ、現地での医療受診などに備える
破傷風トキソイド 土壌中の菌によって感染 自然や農村地帯への渡航時は、過去の接種歴に関わらず追加接種を検討
狂犬病
ワクチン
動物に咬まれて感染、発症すれば致死的 動物との接触が想定される地域では事前接種が重要
日本脳炎
ワクチン
蚊によって媒介され、農村部中心に流行 長期滞在や屋外活動が多い場合は追加接種を検討
黄熱
ワクチン
蚊によって媒介され、アフリカや南米で流行 渡航者は接種が必須。高齢者は副反応リスクがあり、医師と相談が必要
麻疹・風疹
ワクチン
飛沫感染。麻疹は重症化リスクあり、風疹は妊婦への感染で胎児に影響も 免疫が不十分な場合は渡航前に接種。特に50代以上の男性は風疹抗体が低いため注意

これらのワクチンはそれぞれ異なる感染経路や流行地域に対応しているため、ご自身の旅行先や期間、現地での活動内容に応じて必要なものを選ぶことが大切です。また、これらのワクチンの中には複数回の接種が必要なものもあり、接種完了までに時間がかかるケースもあるため、早めの準備が欠かせません。

高齢の方は若年層と比べて免疫応答が弱まっている場合があるため、ワクチン接種による免疫獲得に時間がかかることもあります。特に黄熱ワクチンのような生ワクチンでは、副反応のリスクも考慮して、医師との丁寧な相談のうえで接種を決めましょう。
さらに、複数のワクチンを接種する場合は、同時接種の可否や接種間隔の調整も重要です。

トラベルクリニックや渡航外来を活用し、専門的なアドバイスを受けることで、より安全なワクチン接種計画を立てることができます。

 

シニア向けのワクチン接種スケジュールと注意点

高齢者や持病のある方が安全に予防接種を受けるには、計画的に余裕をもったスケジュールが大切です。出発の2〜3か月以上前から医療機関に相談を始め、必要なワクチンを複数回接種する場合に備えましょう。

生ワクチンは他の生ワクチンと4週間以上空ける必要があります。
接種後は副反応に備え、出発直前ではなく余裕を持ったタイミングで接種を終えるようにします。また、接種証明書や母子手帳なども忘れず携行し、緊急時に備えて接種記録を整えておきましょう。

 

ワクチン以外に気をつけるべき健康管理

トラベルワクチン接種と合わせて、日頃の健康管理も海外旅行を安全に楽しむためには欠かせません。まず、旅行前には必ず主治医の診察を受けて、現在の体調や持病の状態を確認しておきましょう。
必要に応じて薬の調整や健康アドバイスを受けることができます。

常用薬は、旅行日数に加えて予備の数日分を持参すると安心です。
加えて、薬の名称や服用方法が記載された「英文の薬リスト」や「処方箋のコピー」も準備しておくと、現地で紛失した場合や医師にかかる際に役立ちます。

長時間の飛行機移動では、血栓ができやすくなる「エコノミークラス症候群」の予防が大切です。
座席で足を動かす、時々立ち上がる、水分をこまめにとるといった工夫をしましょう。
アルコールやカフェインは利尿作用があるため、飲み過ぎには注意が必要です。また、時差のある地域に行く場合には、出発前から少しずつ現地時間に合わせて生活リズムを調整しておくと、現地での体調の乱れを軽減できます。

食事や飲み水の衛生対策も重要です。
現地の水道水や氷は避け、未開封のミネラルウォーターを利用しましょう。
生の野菜やカットフルーツ、生焼けの肉や魚介類は避けるのが無難です。
外食時も信頼できる店舗を選び、食事の前後には手洗いとアルコール消毒を徹底しましょう。

蚊などの虫刺されによる感染症を防ぐために、肌の露出を控える長袖・長ズボンの着用を心がけ、虫よけスプレーや蚊取り線香などを活用してください。
特にデング熱日本脳炎など、蚊が媒介する病気が流行する地域では、日中の屋外活動にも注意が必要です。

万が一、旅行中に病気やケガをした場合に備え、必ず海外旅行保険に加入しましょう。
保険の内容は、病気・ケガ・入院費用が十分にカバーされるものを選び、持病に関する補償範囲も確認しておくと安心です。
さらに、渡航先の医療体制や、近隣の医療機関、日本大使館や領事館の連絡先を事前に調べてメモしておくと、緊急時にも冷静に対応できます。

 

ワクチン接種で安心・快適な海外旅行を

高齢者や持病のある方も、しっかりと準備すれば安全で快適な海外旅行が可能です。
ワクチンで予防できる病気は事前に予防し、それ以外の健康リスクにも備えることで、旅を最大限楽しむことができます。

安心して旅立つためにも、必要なトラベルワクチンの接種と健康管理の徹底を心がけましょう。