2025.08.15
コラム

トラベルワクチンってなに?

海外では、日本で見られない感染症が流行していることがあり、渡航先での健康を守るためには事前の予防が重要です。
その一環として注目されているのが「トラベルワクチン」となります。
海外への旅行や出張、留学を計画されている方はぜひ参考にしてみてください。

 

トラベルワクチンとは?

海外旅行や出張などで国外に渡航する際、その地域でかかる可能性のある感染症から自分の身を守るために受ける予防接種のことです。
日本では見られない感染症や、国内よりも感染リスクが高い病気が海外には多くあります。
そのため、渡航前に必要なワクチンを接種することで、これらの感染症にかかるリスクを大幅に減らすことができます。

トラベルワクチンには、渡航先の国が入国条件として定めている「必須ワクチン」と、健康を守るために推奨される「推奨ワクチン」があります。
どのワクチンを接種すべきかは、行き先、滞在期間、現地での活動内容、過去の予防接種歴などによって異なります。
したがって、渡航の予定が決まったら、できるだけ早めに専門の医療機関に相談することが大切です。

 

トラベルワクチンの種類と効果

渡航先や滞在期間、現地での活動内容によって、必要となるワクチンは異なります。
以下は代表的なワクチンと、その対象者、有効期間の目安をまとめた表です。

ワクチン名 対象者 有効期間(目安)
黄熱 アフリカ・南米など黄熱流行地域に行く人
黄熱接種証明書が必要な国へ渡航する人
生涯
(1回の接種で有効)
A型肝炎 衛生環境の悪い地域(東南アジアなど)に渡航する人 約5年以上
(2回接種後)
B型肝炎 医療行為を受ける可能性がある人
性的接触の可能性がある人
長期
(通常3回で長期免疫)
狂犬病 野生動物と接する可能性がある人(特に発展途上国へ長期滞在 約2~3年
(必要に応じ追加)
日本脳炎 東南アジアの農村部などに長期滞在する人 約4~5年
(初回3回接種後)
破傷風 ケガのリスクがある人(登山・農作業など) 約10年
(ブースター接種推奨)
腸チフス 南アジア・アフリカなどで現地食を口にする予定のある人 約2~3年(注射型)
約5年(経口型)
髄膜炎菌 集団生活を予定している人(留学生・巡礼など) 約5年
(ワクチンの種類による)

たとえば、アフリカへ旅行する場合は黄熱ワクチンが「必須」となることがあります。
一方で、A型肝炎や狂犬病のように、必須ではないものの、リスクを減らすため「推奨される」ワクチンもあります。
接種から効果が現れるまでに時間がかかるため、渡航の1〜2か月前には医療機関へ相談し、必要なワクチンを受けておくと安心です。
ご自身の旅の内容に合った予防接種で、安全な旅行を楽しみましょう。

 

渡航のどのくらい前に受けるべき?

トラベルワクチンは、接種してすぐに効果が現れるわけではありません。
多くのワクチンは接種後、体内で免疫を獲得するまでに一定の期間が必要です。
一般的には、渡航の1〜2か月前までに医療機関を受診し、ワクチンのスケジュールを立てるのが理想です。
例えば、狂犬病やB型肝炎などは3回接種が必要で、数週間から数か月にわたって接種を行う必要があります。
また、黄熱ワクチンは接種後10日経過しないと「イエローカード(接種証明書)」が有効にならないため、ギリギリでは間に合いません。
出発直前でもできる限りの接種を行うことは有効ですが、最も効果的に予防するためには、できるだけ早く計画を立てることがポイントです。
渡航が決まり次第、すぐに医療機関へ相談することをおすすめします。

 

予防接種はどこで受けられる?

トラベルワクチンは、主に「トラベルクリニック」や「渡航外来」と呼ばれる医療機関で受けることができます。
大都市圏の病院やクリニックにはこれらの専門外来があり、ワクチンの相談・接種だけでなく、現地の感染症情報や健康管理についてもアドバイスを受けられます。
また、厚生労働省検疫所のウェブサイト(FORTH)では、全国の予防接種対応医療機関を検索することができます。
黄熱ワクチンは限られた検疫所や指定医療機関のみで接種可能ですので、早めの予約が必要です。
トラベルワクチンは基本的に自費診療(保険適用外)となるため、費用は医療機関によって異なります。
1回、数千円〜1万円前後が相場ですが、複数のワクチンを受ける場合は数万円になることもあります。

 

ワクチン以外の感染症対策も重要!

ワクチンだけでは防げない感染症も多くあります。
そのため、日常的な衛生管理も非常に重要です。

  • 手洗い・うがい
    基本的な感染症予防の第一歩です。

  • 飲食に注意
    衛生状態が良くない地域では、生水や生ものを避け、加熱されたものを選びましょう。

  • 虫よけ対策
    蚊に刺されることで感染する病気(デング熱、マラリアなど)を防ぐため、虫よけスプレーや長袖長ズボンの着用を心がけましょう。

さらに、マラリア流行地域へ行く場合は、医師の指示のもとで予防薬を服用することも大切です。
帰国後も体調の変化があれば医療機関を受診し、「どこに渡航したか」を必ず伝えるようにしましょう。
感染症によっては帰国後に発症するケースもあります。

旅行をより安全で快適なものにするためにも、トラベルワクチンと感染症対策の知識はとても重要です。
ぜひ一度、ご自身の旅行計画に合わせて医療機関に相談してみてください。