不整脈
不整脈はこんな病気
心臓は通常であれば一定のリズムで脈を打ちます。
1日あたりおよそ10万回動いています。
不整脈は脈拍が正常値より速くなったり、遅くなったり、不規則になっている状態です。
正常であれば1分間に60〜100回程度拍動するとされています。
運動した後や興奮状態、発熱時など、生理的に脈が速くなることもあります。
健康診断などで心電図をした際、脈拍に何らかの異状があり、精密検査を受けに来院される方が多いですが、治療の必要がない方が約90%を占めています。
ただし、残りの約10%は命に関わる場合もあるので注意が必要です。
発症すると次の症状が出ます。
- 動悸
- 冷や汗
- 吐き気
- めまい
- 息切れ
- 失神や意識障害
- 脈が飛ぶ感覚がある
- 強い脈拍を感じる
不整脈は期外収縮・徐脈・頻脈の3つのタイプがあります。
①期外収縮
脈拍がたまに飛んでなくなってしまう状態で、不整脈の中で最も多い症状です。
動悸や胸のつまり、空気が入ったような感覚になります。
30歳を過ぎると多くの人にみられる症状で、ほとんどの場合は問題がありません。
100回のうち10回以上の頻度で期外収縮が認められる場合は治療が必要な可能性があります。
②徐脈
脈拍が1分間あたり50回未満だと徐脈と診断されます。
症状としては息切れや失神、めまい、足のむくみ、だるさを感じます。
アスリートの方などでも見られる症状で、心臓機能が強化されているため、一回あたりの拍出量が多く、拍出する回数が減ることで徐脈になります。
③頻脈
拍動が1分間あたり100回以上だと頻脈と診断されます。
症状としては動悸や失神、胸の痛みを感じます。
症状がなければ様子をみることが多いですが、胸の痛みがつらかったり、緊急性の高い場合は薬物治療を行います。
それでも改善が見られない場合はペースメーカーを埋め込んだり、除細動を行います。
薬剤は抗不整脈薬を服用することで脈を遅くしたり、リズムを整えたりします。
また、抗凝固薬を服用することで脳梗塞を防ぐことができます。
ペースメーカーとは心臓に電気の刺激を与え、人工的に心臓を動かすための機械です。
体内に埋め込む手術をします。
徐脈の中でも洞不全症候群と房室ブロックという疾患で重度の場合に必要とされます。
不整脈の原因
心臓は電気信号を定期的に出すことで一定のリズムでの鼓動を保っています。
その電気信号が乱れたり、速度が正常ではない場合に不整脈が起こります。
多くの場合は疲労やストレス、年齢や体質によるものです。
一般的にしっかり休息をとり、規則正しい生活をすることで改善されることが多いですが、場合によっては心筋梗塞や心不全など重大な心疾患の原因となります。
電気信号を乱す要因として、加齢・重度の肺疾患・高血圧・甲状腺疾患・薬・生活習慣などがあり、60歳を超えると発症確率が上がります。
高血圧になると心臓に負担が増えるため注意が必要です。また、降圧剤や抗うつ薬、抗不整脈薬などは、ものによっては不整脈の原因になることがあり、肥満や睡眠不足、過労、喫煙、アルコール、コーヒーの飲みすぎなども影響するとされています。
特に肥満の人は不整脈の人が多いです。
早期発見のポイント
ご自身で脈拍の測定をしてみましょう
手首や首の付け根など、脈を感じられる場所に指を置いて、15秒脈を数えてみましょう。その値を4倍すると測定できます。
正常であれば、1分間で60~100回ほど脈拍を感じられます。
もし50回以下であれば徐脈、100回以上であれば頻脈となります。
脈拍のリズムも、一定なのか不規則なのか感じてみましょう。
健康診断で心電図に異常ありと言われた場合は、放置せず一度精密検査をしてみましょう。
予防の基礎知識
予防するには以下の数点に注意が必要です。
- しっかり睡眠時間を確保する
- 過剰なカフェイン摂取を控える
- カルシウムやビタミンをしっかり摂る
- 適度に運動する
- 喫煙や飲酒は控える
- ストレスをためないようにする
- 栄養バランスを意識する
定期的に健康診断などで心電図検査を受けましょう。