梅毒
梅毒はこんな病気
梅毒とは梅毒トレポネーマという特殊な細菌が原因で起こる性感染症の一つです。
感染すると、次の症状がでます。
- しこり
- リンパ節の腫れ
- 潰瘍(硬性下疳)
- 発熱
- 疲労感
- 全身にバラのような発疹、丘疹
- 扁平コンジローマ
- 体重減少、食欲不振
- 脱毛
- 大動脈瘤
- 神経障害や慢性髄膜炎
- 柔らかいゴムのような腫瘤
梅毒は一次、二次、潜伏期、三次梅毒、四次梅毒の段階を経て進行していきます。
一次症状は感染してから3週間ほどで口の中や唇に硬いしこりのようなものができたり、太ももの付け根にあるリンパ節が腫れあがります。
上記の症状は時間が経つと多くの場合は落ち着きます。
ここでほとんどの方は一時的な疲れなどで腫れたものと思い込み、放置しがちです。
二次症状は感染してから3ヶ月ほど経過してから確認されます。
発熱や疲労感、頭痛やのどの痛みなど風邪の症状に似たものが発症します。
さらに特徴的な症状が見られることも多く、梅毒性バラ診や丘疹性梅毒疹、梅毒性乾癬、膿疱性梅毒などが発症します。
梅毒性バラ診とは数㎜から1㎝ほどの小さな赤い斑点が全身に出ます。
色がピンクや赤色のためバラ診といわれます。
バラ診が落ち着くと粒状のぷつぷつが手と足に多く見られます。
色は茶褐色で丘疹性梅毒疹といわれるものです。
梅毒性乾癬とは赤い隆起した発疹が皮膚の粉(鱗屑)を伴って手のひらや足の裏に発症します。
また、梅毒によって円形脱毛症のような症状が起こることもありますが二次梅毒の時点で適切な治療を受ければ深刻化を防ぐことができます。
潜伏期を経て感染から3年ほどで三次症状が発症します。
皮膚から深部に感染が進み、ゴム腫と言われる皮膚や筋肉にゴムのような塊ができるようになります。
潰瘍になり治癒しても組織が変形を伴います。
四次症状は感染から10年以上経過したころに発症し、心臓や大血管、神経系に症状が見られるようになります。
現在の日本では四次症状まで発見されずに放置され進行するということはほとんどありません。
以前まで梅毒は不治の病とされていました。
現在ではペニシリン系抗生物質(アモキシシリン)を服用することで完治が可能になりました。
進行度合いにより治療期間は異なります。
一次症状時点で治療を開始した場合は2〜4週間ほど、二次では4〜8週間ほど、三次では12週間ほどの期間中1日3回、食後に服用します。
症状が治まったからといって服用を中断すると再発することがありますので、必ず医師の指示通り処方されたお薬を服用しましょう。
梅毒の原因
梅毒は、梅毒トレポネーマと言われる細菌により発症します。
梅毒トレポネーマはすでに感染している方の血液や体液に含まれており、それらが粘膜や皮膚の傷口から自身の体内に入ることで感染します。
コンドームを正しく使用せずノーマルセックスやアナルセックスを行った際の感染が特に多く報告されています。
ペニスや膣を直接舐めたりするとお互い感染リスクがあがります。
妊婦が梅毒に感染している場合、出産の際に胎児が産道を通過した時梅毒に感染することもあります。
感染してしまうと胎児が先天梅毒となり、放置すると神経骨に障害をきたす恐れがあるため、すぐに治療が必要です。
また、感染者の血液が直接体内に入ったり、粘膜に触れることでも感染します。
麻薬の注射器を使いまわしをすることも感染する原因の一つです。
早期発見のポイント
梅毒を疑う症状が出たり、感染を疑う行為があった場合は一度検査を受けてみることをおすすめします。
ただし、症状があってもすぐには陽性反応がでないため、感染を疑う行為があってから4週間以上を空けて受診してください。
また、パートナーの方も感染している可能性があるため、感染を疑う場合や感染が判明した場合は一緒に治療することが大切です。
予防の基礎知識
性行為をする際は必ずコンドームを使用しましょう。
また、不特定多数の人と性行為すると感染リスクは増加します。
コンドームを着用し、不特定多数の相手との性行為は避けることで梅毒等の性感染症は防げます。
ピルの服用は妊娠を予防することはできても、性感染症の予防はできません。
正しい性感染症の知識を身に着けることも重要です。
また、梅毒のワクチンがないように抗体は再感染を予防できません。
一度感染し、治療をしたことがあっても予防はしっかりして下さい。