新型コロナウイルス変異株と百日咳の同時流行!今、知っておくべき対策は?
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同時流行の背景と現状
百日咳と新型コロナウイルス変異株がともに拡大中
2025年夏、日本では百日咳と新型コロナウイルス変異株の同時流行が懸念されています。
国立健康危機管理研究機構の報告によると、特に2025年は百日咳の報告数が急増し、前年の約5倍という異常な増加傾向です。
これに加えて、日本全国で急速に拡大しているのが、新型コロナウイルス変異株「ニンバス(NB.1.8.1株)」です。
感染者数は7週連続で増加しています。
猛暑と人流の増加が感染リスクを高める要因に
この背景には、例年を上回る猛暑と、お盆期間中の人の移動の活発化という2つの要因が深く関係しています。
猛暑が続く中、熱中症などの健康リスクを避けるため、冷房の効いた室内で過ごす時間が自然と増えています。
特に公共施設や飲食店、オフィスなどでは、換気が不十分な空間に人が集まりやすく、飛沫や接触による感染リスクが高まりやすい状況です。
また、マスクを着用しない人が増えている背景には、暑さ対策だけでなく、ここ1年ほどでコロナの感染が落ち着いたと感じていることも影響していると考えられます。
「もうマスクは不要」と判断する方も少なくなく、全体として感染対策への意識がやや緩んできている傾向も見受けられます。
さらに、2025年はコロナ禍以降で初めて大きな制限のない夏休みとなったこともあり、お盆を中心に帰省や旅行、イベントなどを楽しむ人が多く見られました。
その期間中の人の移動や接触機会の増加による影響が、今後の感染者数に反映されてくることが懸念されます。
こうした複数の要因が重なったことで、新型コロナウイルス変異株と百日咳の同時流行という、かつてない感染症リスクが現実のものとなりつつあります。
特に症状が似ているケースも多いため、医療現場でも診断が難しくなっており、一般の方々にも冷静な情報収集と予防行動が求められます。
新型コロナウイルス変異株と百日咳の共通点と違い
症状
新型コロナウイルス変異株「ニンバス(NB.1.8.1株)」
コロナウイルスの中でも、現在流行している新型コロナウイルス変異株は、以下のような特徴的な症状が見られます。
- 鋭い喉の痛み(「カミソリを飲み込んだよう」と表現されるほど)
- 発熱(高熱ではない場合もあり)
- 咳(乾いた咳が多い)
- 全身の倦怠感
- 頭痛
- 鼻水・鼻づまり
- 軽度の下痢や腹痛
- 喉の違和感・かすれ声
※従来株で見られた嗅覚・味覚障害は比較的少ない傾向にあります。
※症状は軽症でも長引くケースがあるため、早めの対応が重要です。
百日咳
百日咳は、初期は風邪のような症状ですが、数日〜1週間ほどで特徴的な咳症状が現れます。
初期症状(カタル期)
- 軽い咳
- 微熱
- 鼻水
- 喉の違和感
進行後の症状(痙咳期)
- 連続する激しい咳発作
- 咳き込んだ後に「ヒュー」という笛のような吸気音
- 咳に伴う嘔吐
- 睡眠中の咳き込み
乳児の場合
- 無呼吸発作
- チアノーゼ(唇や顔が青くなる)
- 重症化しやすく、入院が必要なことも
成人の場合
- 軽度の持続的な咳が中心で、風邪や喘息と間違われやすい
- 長引く咳(3週間以上)が続くケースも多い
このように、新型コロナウイルス変異株と百日咳は一部の症状で共通点があるものの、咳の性質や進行の仕方に明確な違いがあります。
特に百日咳は、乳児では命に関わる重症化のリスクもあるため、注意が必要です。
感染経路

共通点:両者とも飛沫感染および接触感染を主とし、高い感染力が特徴です。
特に百日咳は、非常に強い感染力を持つ感染症で、1人の感染者から平均で12〜17人にうつるとされています。
これはインフルエンザや新型コロナの多くの株よりも「非常にうつりやすい感染症」と言えます。
家庭内や学校、保育施設など、密な接触が生じやすい環境での拡大が懸念されます。
病院受診のタイミングと注意点
長引く咳には早めの受診が鍵です。
特に以下のような症状が見られる場合、百日咳の可能性を念頭に置きましょう。
- 咳が数週間続く
- 咳発作後の嘔吐や笛のような呼吸音がある
- 小児(特に乳幼児)での無呼吸やチアノーゼが見られたとき
また、百日咳は感染症法上「5類感染症(全数把握対象)」に分類されており、診断された場合は医師による報告義務があります。
学校保健安全法に基づき、出席停止期間も定められているため、早期の受診と適切な対応が重要です。
同時に、新型コロナウイルス変異株など他の感染症が疑われる場合、強い喉の痛みや高熱、倦怠感といった症状が見られた際は、早めの医療機関への相談をおすすめします。
感染症に対する基本的な対策
感染症の流行が続く中で、大切なのは特別な対策ではなく、日常の中で「基本」を徹底することです。
新型コロナウイルス変異株や百日咳のように、症状が見分けにくく、気づかないうちに感染を広げてしまう可能性のある疾患もあるため、まずは「かからない」「うつさない」ための習慣を見直しましょう。
特に、乳児や高齢者、基礎疾患のある方がいる家庭では、重症化のリスクを避けるために感染を家庭内に持ち込まない意識が重要です。
家庭やオフィスで実践できる基本の感染対策
- マスクの着用(混雑した場所・公共交通機関・体調不良時)
- 正しい手洗いとアルコールによる手指消毒
- 咳エチケット(咳やくしゃみをする際は口元を覆う)
- 室内の定期的な換気(1時間に1〜2回、数分間程度の空気の入れ替え)
- 適切な湿度管理(加湿器などで湿度40〜60%を保つ)
- よく触れる場所(ドアノブ、スイッチ、リモコンなど)のこまめな消毒
治療方法の違いと管理
それぞれの治療法
新型コロナウイルス変異株
特効薬はなく、対症療法(解熱剤、うがい、加湿、水分補給)が中心です。
百日咳
主にマクロライド系抗菌薬(例:アジスロマイシンなど)が使用されます。
これは、原因となる細菌(百日咳菌)を抑えるための抗生物質で、初期の段階で使用することで、症状の悪化を防ぎ、感染の広がりも抑える効果があります。
しかし近年では、この薬に耐性を持つ菌(MRBP:マクロライド耐性百日咳菌)も報告されており、効果が出にくいケースもあります。
そのような場合は、代わりの薬として「ST合剤(TMP-SMX)」が使われることもあります。
これは2種類の抗菌成分を組み合わせた薬で、耐性菌にも効果が期待されます。
重症化のリスクとその管理
乳幼児では重症化のリスクが高く、肺炎・脳症・場合によっては死亡に至ることがあります。
家庭内感染が原因になるケースも多いため、大人が媒介とならないよう対策が重要です。
一方で、高齢者や基礎疾患のある方も感染によって重症化しやすいため、特に用心が必要です。
これに加えて、インフルエンザやRSウイルスなど冬季に流行する他の呼吸器感染症の同時流行も懸念されます。
ワクチン接種や換気・手洗いなどの基本的対策を全体として続けていくことが望ましいです。
こうした多様な感染症のリスクが重なる今こそ、年齢や健康状態に関わらず、社会全体で予防意識を高め、日常の対策を丁寧に続けていくことが、重症化を防ぎ、大切な人を守るために欠かせない取り組みと言えるでしょう。
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