女性特有のがんとは?乳がん・子宮がん・卵巣がんの初期症状とセルフチェック・検診のポイント

がんは、早く見つけて早く治療を始めるほど、治療の選択肢が増え、治癒や後遺症の軽減につながる病気です。
一方で、発見が遅れてしまうと、治療が長期化したり、命にかかわる状態に進行してしまうことも少なくありません。
とくに「女性特有のがん」は、妊娠・出産・更年期、仕事や子育てなど、ライフステージに大きく影響を与えることがあります。この記事では、乳がん・子宮体がん・卵巣がん・子宮頸がんといった女性特有のがんについて、初期症状のチェックポイントと、日常生活でできる予防、検診の重要性についてわかりやすく解説します。
なんとなく気になる症状を「年齢のせいかな」「疲れかな」で済ませてしまわず、定期的なセルフチェックと検診で自分の体と向き合っていきましょう。
女性特有のがんと、その「サイン」を知ることが大切
がんとは、体内の細胞の遺伝子に変化が起こり、細胞が際限なく増え続けてしまう病気です。
周囲の組織に広がったり(浸潤)、血液やリンパの流れに乗って別の臓器に移ってしまう(転移)こともあります。
腫瘍には、命にかかわる「悪性腫瘍(がん)」と、増えても他の臓器を壊しにくい「良性腫瘍」があります。女性特有のがんとして代表的なものには、次のようなものがあります。
- 乳がん
- 子宮体がん(子宮内膜がん)
- 卵巣がん
- 子宮頸がん
どのがんも、早い段階では症状がほとんど目立たず、「何となくだるい」「疲れやすい」程度で見逃されやすいのが特徴です。
だからこそ、「女性に多いがんにはどんなサインがあるのか」を、あらかじめ知っておくことがとても大切です。
女性に多いがん別・初期症状のチェックポイント
ここでは、代表的な女性特有のがんについて、特徴とチェックしたい症状を整理します。
乳がん
乳がんは乳腺の組織に発生するがんで、日本人女性が生涯にかかる確率はおよそ9人に1人といわれています。発症リスクはあらゆる年代にありますが、とくに30〜40代にかけて増えてきます。
◼︎ 気をつけたいサイン
- 乳房に硬いしこりがある
- 左右の乳房の形や大きさが明らかに違ってきた
- 乳房の皮膚にえくぼのようなへこみ、ひきつれがある
- 乳頭から血液が混じった分泌物が出る
- 乳頭や乳輪が赤くただれている
子宮の奥の「子宮体部」に発生するがんで、子宮内膜がんとも呼ばれます。発症リスクは40代後半から高まり、50〜60代がピークです。閉経前の女性でもゼロではありませんが、閉経後の発症が目立ちます。
卵巣がん
卵巣に発生するがんで、良性腫瘍(のう腫)の場合もあれば、悪性の場合もあります。40代からリスクが高まり、50〜60代がピークとされていますが、若い世代にみられるタイプもあります。
卵巣は骨盤の奥深くにあるため、がんが大きくなるまで症状が出にくいのが特徴です。
◾️気をつけたいサイン
- 食欲不振や少し食べただけで満腹になる
- 便秘や頻尿が長く続く
- 原因不明の下腹部痛
- 下腹部に触れるしこりがある
子宮頸がん
子宮の入口にあたる「子宮頸部」に発生するがんで、多くはヒトパピローマウイルス(HPV)への持続感染が原因です。30代後半がピークですが、20〜30代でも増加しています。
◾️気をつけたいサイン
- 月経以外の不正出血
- 性交時や性交後に出血がある
- おりものが茶色っぽい、水っぽい、量が増えた
- 下腹部の鈍い痛みや重さ
上記の症状は、必ずしもがんだけが原因ではなく、良性の病気やホルモンバランスの変化で起こることもあります。
しかし、「今までと明らかに違う状態が続く」「だんだん悪化している」と感じたら、一度婦人科で相談しておくと安心です。
見逃しやすい「受診の目安」と婦人科でよく行う検査
女性特有のがんは、初期に症状が乏しいものが多く、「受診の目安」が分からず様子を見てしまいがちです。ここでは、検診とは別に「症状があるときに受診した方がよいサイン」と、医療機関での基本的な検査の流れを整理します。
まず、次のような症状がある場合は、検診の時期を待たずに早めに婦人科や乳腺外科で相談することをおすすめします。
- 不正出血が続く(少量でも、繰り返す場合は要注意)
- 性交時や性交後の出血がある
- おりものの量や色、においが急に変わった
- 下腹部痛や腰の重さが続く
- お腹の張り、食欲低下、すぐ満腹になる状態が続く
- 乳房のしこり、分泌物、皮膚のひきつれなどの変化に気づいた
- 「いつもの月経」と明らかに違う出血がある(閉経後の出血は特に受診を)
症状があって受診した場合、医療機関では「原因ががんなのか、別の病気なのか」を切り分けるため、段階的に検査を組み合わせます。婦人科でよく行われる検査には次のようなものがあります。
| 検査の種類 | 詳しい検査内容 |
| 内診・視診 | 子宮頸部の状態や出血源の推定、子宮の大きさ、圧痛などを確認します。 |
| 超音波検査(経腟または経腹) | 子宮や卵巣の形、腫れ、子宮内膜(子宮の内側の膜)の厚さ、嚢胞(のう胞)などを評価します。卵巣がんのように症状が出にくい病気でも、超音波が手がかりになることがあります。 |
| 子宮頸部細胞診/HPV検査 | 不正出血やおりもの異常がある場合でも、子宮頸部の評価として行うことがあります。 |
| 子宮体がんを疑う場合の検査 | 閉経後の出血や月経異常が続く場合などは、子宮内膜の状態を詳しく確認します。必要に応じて子宮内膜の検査(組織を採取する検査)を行うことがあります。 |
| 乳房の検査 | 症状がある場合は、触診に加えてマンモグラフィや乳房超音波で評価し、必要なら細胞や組織を調べる検査につなげます。 |
「検査=怖い」と感じる方も多いですが、実際には短時間で終わるものが多く、原因がはっきりするだけでも安心につながります。特に不正出血やお腹の張りなどは、子宮筋腫、子宮内膜症、良性の卵巣嚢腫、感染症など、がん以外の原因で起こることも少なくありません。だからこそ、自己判断で長く放置せず、「早めに確認する」ことが、結果的に体と心の負担を小さくします。
忙しい方は、受診前に次の情報をメモしておくと診察がスムーズ
- 症状が始まった時期、頻度、強さ
- 出血の量(ナプキンが必要か、点状か)やタイミング(月経との関係)
- おりものの変化(色、におい、量)
- 妊娠の可能性、月経周期、閉経の有無
- 過去の検診結果や治療歴、家族歴(乳がん・卵巣がんなど)
「大したことではないかも」と思う症状ほど、相談しづらいものです。しかし、早めの受診は、重大な病気の早期発見だけでなく、良性疾患の適切な治療や生活のしやすさにもつながります。気になるサインがあるときは、遠慮せず医療機関に相談してください。
生活習慣からできる、がん予防の基本

すべてのがんを完全に防ぐことはできませんが、生活習慣を整えることで、発症リスクを下げられることがわかっています。主なリスク要因と、今日からできる対策を整理しておきましょう。
運動不足
筋力の低下や体重増加、血流の悪化は、さまざまながんや生活習慣病のリスクにつながります。まずは「週に1〜2回、30分程度の早歩きから」など、続けやすい目標を決めて、少しずつ体を動かす習慣をつけていきましょう。
喫煙
たばこは肺がんだけでなく、多くのがんのリスク要因となります。自分が吸わなくても、受動喫煙による影響も無視できません。
喫煙習慣がある場合は、禁煙外来など専門のサポートを活用しながら、なるべく早い段階で禁煙を目指しましょう。
過度な飲酒
お酒の飲みすぎは、乳がんや消化器系のがんのリスクを高めるとされています。
毎日飲む習慣がある方は、
▶︎「週に何日かは休肝日を作る」
▶︎「1回の量を決めて、それ以上は飲まない」
など、飲み方を見直してみてください。
偏った食事
脂質や糖分の多い食事、野菜や果物不足は、肥満や生活習慣病、がんのリスクに関係します。
主食・主菜・副菜をそろえることを基本にしつつ、野菜・きのこ・海藻類などを意識して取り入れ、加工肉や揚げ物を摂りすぎないよう注意しましょう。
早期発見のカギを握る、がん検診の内容と受けるタイミング
日本では、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」に基づき、主に次のがん検診が推奨されています。女性に特に関係が深いものを中心に紹介します。
胃がん検診
- 検査内容:問診、胃部X線検査(バリウム)、胃内視鏡検査など
- 対象目安:50歳以上
- 受診間隔:2年に1回
子宮頸がん検診
- 検査内容:問診、視診、子宮頸部の細胞診、内診など
- 対象目安:20歳以上の女性
- 受診間隔:2年に1回
大腸がん検診
- 検査内容:問診、便潜血検査
- 対象目安:40歳以上
- 受診間隔:年1回
乳がん検診
- 検査内容:問診、マンモグラフィ(乳房X線検査)
- 対象目安:40歳以上の女性
- 受診間隔:2年に1回
乳がんセルフチェックのやり方
乳がんは日本人女性に最も多いがんですが、自分で見つけられる可能性が高いがんでもあります。定期的な乳がん検診に加え、月に1回程度のセルフチェックを習慣にしておくと、変化に気づきやすくなります。
▶︎鏡の前で見て確認する
- 上半身裸になり、鏡の前に立つ
- 両手を自然に下ろした状態と、両手を頭の後ろで組んだ状態の2パターンで、乳房の形や左右差を確認する
- くぼみ、ひきつれ、ただれ、赤み、皮膚の変色がないかを見る
- 乳頭が最近陥没してきていないか、向きが急に変わっていないかもチェックする
▶︎手で触って確認する
- 片方の手を頭の後ろに回し、もう片方の指の腹4本を使って乳房全体を触る
- 「の」の字を描くように、乳頭のまわりから外側へ、乳房の端まで順番に触れていく
- 力を入れすぎず、少しずつ場所を変えながら、硬いしこりがないかを確かめる
- わきの下あたり(腋窩リンパ節周囲)もしこりがないか軽く触れてみる
仰向けの姿勢でも行うと、乳房が平らに広がるため、しこりが触れやすくなります。
「前はなかったしこりに気づいた」「片方だけ硬い部分がある気がする」「分泌物が出てきた」というときは、痛みの有無に関わらず、一度乳腺外科や婦人科を受診してください。
まとめ|がんのリスクを減らすために、今日からできること
女性特有のがんは、年齢やホルモンバランス、妊娠・出産歴、家族歴など、さまざまな要因が絡み合って発症します。
すべてをコントロールすることはできませんが、今日からできる小さな一歩を積み重ねることが、将来のリスク軽減につながります。
▪️生活習慣を整える(禁煙・節酒・適度な運動・バランスのよい食事)
▪️体重の増えすぎ、減りすぎに注意する
▪️月経やおりものの変化、不正出血、気になる痛みを「放置しない」
▪️年齢に応じたがん検診を定期的に受ける
▪️乳房や下腹部のセルフチェックを月に1回程度行う
不安を一人で抱え込まず、「少し早いかな?」と思うタイミングでも、気になることがあれば婦人科や乳腺外科で相談してかまいません。
早期に相談することが、安心につながり、万が一病気が見つかったときでも、治療の選択肢を広げてくれます。
自分の体の小さな変化に目を向けることは、自分自身を大切にすることでもあります。
忙しい毎日のなかでも、ときどき立ち止まって、セルフチェックと検診の予定をカレンダーに書き込んでみてください。未来の自分への、何よりのプレゼントになるはずです。


健康コラム一覧へ戻る