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HPVワクチンの公費接種は高1の9月までに始めたほうがいい?理由とスケジュールを医師が解説

2024.09.11

HPVワクチンは、子宮頸がんをはじめとするHPV関連の病気から未来の健康を守るための大切なワクチンです。同じワクチンを打つのであれば、「いつから始めるか」で公費の対象期間や自己負担額、そして予防効果を得られるタイミングが大きく変わります。

とくに、定期接種の最終年度にあたる高校1年生は、「9月末までに1回目を受けるかどうか」が一つの目安になります。本コラムでは、高1の9月までに接種をスタートすることがすすめられる理由と、HPVワクチンの基礎知識、実際のスケジュールの立て方について、医師の立場からわかりやすく解説します。

HPVワクチンとは

HPVワクチンは、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を予防するためのワクチンです。HPVは性的接触を通じて感染するウイルスで、子宮頸がんのほとんどは、このHPVの長期的な感染がきっかけになると考えられています。

HPVには100種類以上の型がありますが、そのうち16型・18型などは「ハイリスク型」と呼ばれ、

  • 子宮頸がん
  • 肛門がん
  • 外陰がん

などを引き起こしやすい型です。HPVワクチンは、これらのハイリスク型に対する免疫をつけることで、感染とそれに続く前がん病変・がんのリスクを大きく減らすことを目的としています。

現在、日本で定期接種として公費で受けられるHPVワクチンは

◼︎2価(サーバリックス)
◼︎4価(ガーダシル)
◼︎9価(シルガード9)

の3種類です。9価ワクチンは、より多くの型をカバーできることから、近年は9価ワクチンを選ぶ医療機関が増えています。

公費で接種できる対象と年齢

HPVワクチンの定期接種(公費接種)の対象は、「小学校6年生~高校1年生相当の女子」です。この期間内であれば、原則として無料またはごく少ない自己負担で接種を受けることができます。

定期接種として公費の対象となる期間は、「12歳〜16歳となる日の属する年度の末日(3月31日)まで」と決められています。高校1年生相当の学年は、ちょうどこの「最終年度」にあたり、その年度が終わるとHPVワクチンは原則として自費での接種になります。

さらに、定期接種の機会を逃した世代(平成9年度~平成20年度生まれ前後の一部)には、期間限定で「キャッチアップ接種」という公費接種の制度が設けられてきました。ただし、キャッチアップ接種には開始期限・終了期限があり、年度ごとに条件が変わるため、最新の情報はお住まいの自治体の案内で確認する必要があります。

「自分が今どの制度に当てはまるのか」は、年齢や生まれ年によって細かく分かれているため、迷ったときは自治体の予防接種担当窓口や、HPVワクチンを扱っている医療機関に相談するとよいでしょう。

なぜ「高1の9月まで」が一つの目安なのか

HPVワクチンは、1回で完了するワクチンではありません。使用するワクチンや年齢によって多少異なりますが、高校生世代では「合計3回接種する」ことを前提に考えておくのが基本です。

標準的なスケジュールの一例は次の通りです。

  • 1回目
  • 1回目から2か月後に2回目
  • 1回目から6か月後に3回目

この場合、すべての接種が終わるまでに、少なくとも約6か月かかります。高校1年生の公費対象期間は、その年度の3月末までですから、逆算すると「9月末までに1回目を受けておくと、余裕を持って3回目まで公費で打ち切れる」という計算になります。

11月ごろから急いで始めれば、間隔を詰めてスケジュールを組める場合もありますが、

  • 予約が取りづらい時期と重なる
  • 体調不良やテスト期間、部活動の大会などで予定どおり打てないことがある
  • インフルエンザなど他のワクチンとの間隔調整が必要になることがある

といった理由から、余裕をもって「高1の夏〜9月頃までに1回目を済ませる」のが現実的で安全な目安といえます。

高校2年生以降に始めるとどうなる?費用の目安

高校2年生以降にHPVワクチン接種を始めた場合は、原則として自費での接種になることが多くなります(キャッチアップ接種の対象者として公費で受けられる例外もあります)。

自費でHPVワクチンを接種する場合、費用は医療機関やワクチンの種類によって変わりますが

  • 2価・4価ワクチンで1回あたりおよそ1万5千~2万円前後
  • 9価ワクチンでは1回あたりおよそ2万5千~3万円前後

といった金額が一つの目安です。3回接種するとトータルでは数万円から10万円近くになることもあり、ご家庭にとっては決して小さくない負担です。

また、進学や就職、引っ越しなどで生活環境が変わると、同じ医療機関で継続して接種を受けることが難しくなる場合もあります。高校1年生のうちに公費で接種を開始しておけば、こうした自己負担を避けつつ、子宮頸がん予防の効果を早い時期から得ることができます。「今すぐ打たなくてもそのうち…」と先延ばしにしているうちに、公費の対象期間を過ぎてしまうケースも少なくありません。

HPVワクチンの接種回数とスケジュールの組み方

HPVワクチンの接種回数は、使用するワクチンと接種を始める年齢によって変わります。

◼︎9価ワクチン(シルガード9)の場合
 1回目を15歳の誕生日の前日までに接種する場合:原則2回接種(6か月あける)
 それ以降の年齢で接種を始める場合:3回接種(0、2、6か月など)

◼︎4価ワクチン(ガーダシル)の場合
 通常は3回接種(0、2、6か月)

高校1年生世代では、誕生日がいつかによって2回接種の対象になる場合もありますが、多くの方は3回接種が必要になると考えておくと安心です。そのため、「少なくとも6か月かかるつもりでスケジュールを立てる」ことが大切になります。

実際の予定を立てるときには、

◼︎テスト期間や部活動の大会、修学旅行などのイベント
◼︎他の予防接種(インフルエンザワクチンなど)との兼ね合い
◼︎長期休みの帰省や塾の予定

なども考え合わせて、無理なく通院できる時期を選ぶとよいでしょう。予約の取り方や接種間隔の微調整については、かかりつけ医や接種予定の医療機関に相談してください。

HPVワクチンの効果と安全性

HPVワクチンは、HPV感染そのもの、そしてそれに続く前がん病変や子宮頸がんの発症リスクを大きく減らす効果があることが、多くの国で確認されています。ワクチン導入後、若い世代のHPV感染率や高度異形成(がんの一歩手前の状態)が大きく減少したという報告もあります。

また、HPVワクチンは「感染する前に接種するほど効果が高い」ワクチンです。性行為の経験がない時期、免疫の反応がよい10代前半〜半ばのうちに接種することで、より高い予防効果が期待できます。

一方で、すべてのワクチンと同様に

  • 接種部位の痛みや腫れ
  • 発熱
  • だるさ

などの一時的な副反応がみられることがあります。まれに重いアレルギー反応などが報告されていますが、日本を含む世界各国で安全性について継続的な検証が行われており、子宮頸がん予防のメリットが副反応のリスクを上回ると評価されています。

持病がある方やこれまでにワクチンで強いアレルギー反応を起こしたことがある方は、必ず事前に医師とよく相談しましょう。

ワクチンだけでなく、定期検診も忘れずに

HPVワクチンは強力な予防手段ですが、「打てば100%子宮頸がんにならない」というわけではありません。ワクチンで予防できない型のHPVも存在するため、20歳以降は子宮頸がん検診(子宮頸部細胞診やHPV検査)を定期的に受けることが大切です。

  • 10代~高校生のうちにHPVワクチンで一次予防
  • 20代以降は定期的な子宮頸がん検診で二次予防

という二本立てで、子宮頸がんから自分の身体を守ることが理想的な流れです。

検診は「症状が出てから受けるもの」ではなく、「症状が出る前に異常を見つけるためのもの」です。ワクチンを受けていても、検診の案内ハガキが届いたら、先延ばしにせず、できるだけ早めに予約を取りましょう。

よくある疑問Q&A

Q.9月を過ぎてしまったら、もう公費では打てませんか?
A.高1の9月末というのは、あくまで「標準的な3回接種を公費で完了させるための目安」です。実際には、接種間隔の調整や自治体独自の助成、キャッチアップ接種の対象になるかどうかなど、条件によって変わります。9月を過ぎていても諦めずに、一度医療機関や自治体に相談してみてください。

Q.まだ性経験がないのですが、今から打つ意味はありますか?
A.HPVワクチンは「感染する前に打つほど効果が高い」ワクチンです。性経験がない時期の接種は、むしろ最も効果が期待できるタイミングです。将来の子宮頸がんリスクを減らすためにも、「まだ先の話」と思わず、対象年齢のうちに接種を検討しましょう。

Q.副反応が心配で迷っています。
A.注射部位の痛みや腫れ、軽い発熱、だるさなどは比較的よくみられ、多くは数日でおさまります。重い副反応はまれですが、ゼロではありません。不安がある場合は、医師から十分な説明を受けたうえで、メリットとデメリットを比較して判断することが大切です。心配な点は遠慮なく質問して、納得したうえで接種を受けるようにしましょう。

まとめ|高1の9月を一つの「区切り」に考えましょう

HPVワクチンの公費接種は、小6~高1相当の限られた期間にしか受けられません。標準的な3回接種スケジュールを考えると、高校1年生は「9月末までに1回目を受けておくかどうか」が、公費で最後まで打ち切れるかどうかの大きな分かれ目になります。

  • 高1のうちに公費で接種を完了すれば、経済的負担をほとんどかけずに将来の子宮頸がんリスクを減らせる
  • 始めるのが遅くなるほど、自費での接種が必要になり、数万円~十数万円の出費になることもある
  • ワクチンの効果を最大限に活かすには、性行為の経験がない若い時期に接種することが望ましい

こうした点から、「まだ時間はある」と先延ばしにせず、高1になったら一度は保護者と一緒に、HPVワクチンについて話し合ってみることをおすすめします。

母子手帳や接種券、自治体から届いた案内が見当たらない場合でも、かかりつけ医やお住まいの市区町村の窓口に相談すれば、対象かどうかや具体的なスケジュールを教えてもらえます。わからないままにしておかず、小さな一歩からでも始めてみましょう。

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