LDLとHDLのバランスを見たことがありますか?LH比を見て生活を見直そう
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毎年、健康診断で行う検査の1つである血液検査。
自分の血液検査データを見て、LDLコレステロールが低すぎたり、HDLコレステロールが高すぎたりして不安に思う方もいるのではないでしょうか。
コレステロールは、体にとって必要不可欠な働きをしていますが、血液中のコレステロールが多いと、健康に悪影響が出ます。
それぞれの数値を正常な範囲内に収めるだけでなく、LDLとHDLのバランスを良好に保つことも重視されてます。
今回は、近年注目が高まっている、LDL・HDLコレステロールのバランスを調べる「LH比」の見方や指標についてご紹介します。
血液中のコレステロールとは
血液検査の目的の1つである脂質検査とは、血液を採取して血液中の脂質の濃度を調べる検査です。
脂質は体になくてはならない三大栄養素の1つです。
血液中に含まれる脂質を血中脂質といい、主なものはコレステロールと中性脂肪になります。
中でも体内で重要な役割を担っている脂質のコレステロールは、2種類あります。
HDL-コレステロールは動脈硬化を進行させないように働く一方で、LDL-コレステロールは増えすぎると血管壁にたまり、アテローム硬化というタイプの動脈硬化が進んでしまいます。
それにより、それぞれのコレステロールは「善玉コレステロール」、「悪玉コレステロール」とよばれています。
・LDLコレステロール(悪玉コレステロール)
肝臓に蓄えられたコレステロールを全身へ運ぶ働きがあります。
食生活で過剰になりがちなコレステロールです。
・HDLコレステロール(善玉コレステロール)
余分なコレステロールを全身から回収し、肝臓へ戻す働きがあります。
コレステロールは細胞膜やホルモンなどをつくる重要な要素であるため、過度に不足すると心身の不調が起こりやすくなるといわれています。
また、LDL・HDLコレステロールにはそれぞれ異なる役割があり、どちらも人体にとって欠かせません。
コレステロールの基準値は?
| LDLコレステロール | HDLコレステロール |
---|---|---|
基準値 | 60~119mg/dL | 40mg/dL以上 |
要注意 | 120~179mg/dL、 または59mg/dL以下 | 35~39mg/dL |
異常値 | 140mg/dL以上 | 34mg/dL以下 |
健康への影響 | 血液中のLDLコレステロールが増えるとすぎると、酸化LDLという成分になり、血管の内壁に沈着します。LDLが異常値の状態が続くと、血管にどんどん沈着して血管の内部を狭めてしまい、動脈硬化を引き起こします。 動脈硬化が進行すると、心筋梗塞・脳梗塞といった動脈硬化性疾患を引き起こしてしまいます。 | 余分なコレステロールを回収して肝臓に運ぶという役割を担っています。 HDLが減少すると、LDLが増加してしまい、血管を狭くして血流を悪くしたり、動脈硬化を引き起こしたりします。 |
LH比とは?
従来、健康リスクの低減のために、LDL・HDLコレステロールそれぞれを基準値内におさめることが重視されてきました。
しかし、近年ではLDLとHDLのバランスにも注目され、比率を適切に保たなければならないという考え方が一般化してきています。
LDLコレステロールとHDLコレステロールのバランスを調べる指標をLH比といい、血管の内部にどの程度コレステロールが付着した状態なのかを見通すのに役立ちます。
LH比の出し方
LH比🟰LDLコレステロール値➗HDLコレステロール値
たとえば、LDLコレステロール値が138mg/dlで、HDLコレステロール値が46mg/dlとすると、「138÷46=3」で、LH比は3.0となります。
自分の血液検査のデータがあれば、さっそくLH比を計算してみましょう。
LH比の見方(LH比と血管内の状態について)
LH比 | 血管内の状態 |
---|---|
1.5以下 | きれいで健康な状態 |
2.0以上 | コレステロールの蓄積が増えて動脈効果が疑われる |
2.5以上 | 血栓ができている可能性あり。心筋梗塞のリスクも! |
- LH比が1.5未満
血管内は健康な状態であると評価できます。 - LH比が1.5以上
コレステロールが血管のなかに付着し始めている状態です。 - LH比が2.0以上
血管内壁全体にコレステロールの塊がこびりついている可能性があります。
血管の弾力性が失われ、いわゆる「ドロドロ状態」になって血管が狭くなったりするリスクが高まるため、注意が必要です。 - LH比が2.5以上
コレステロールの蓄積が顕著になり、危険な状態であることが示唆されます。
LDL、HDLの各数値が基準値内にあったとしても、LH比が高くなる場合もあります。
例えば、LDLが139mg/dLでHDLが40mg/dLの場合には、LH比は約3.5となるため、非常にリスクが高いといえるでしょう。
健康な血管を維持するために
悪玉コレステロールを減らす
LH比を改善し、健康な血管を維持するためには、「悪玉のLDLコレステロールを減らす」ことと、「善玉のHDLコレステロールを増やす」ことの両方が大切です。
- コレステロールの合成を促進しない
コレステロールの70~80%は体内(肝臓)で合成されます。
摂取カロリーが必要以上に増えると、コレステロールの体内合成が促進され、LDLコレステロールが増えるので、基本は食べ過ぎないことです。腹8分目を心がけましょう。 - LDLコレステロールを減らす食品を摂る
コレステロールを減らそうとする場合、鶏卵や魚卵などコレステロールの多い食品を制限することが多い反面、コレステロールを減らす食品のことは忘れがちです。
植物性たんぱく質(大豆や豆腐など)、水溶性食物繊維(海藻、きのこ、豆、根菜など)には、コレステロールを吸着し、減らす働きがあります。
また、魚類(イワシ、サバ、マグロなど)に多い不飽和脂肪酸(DHAやEPA)は中性脂肪を減らすと同時に、心筋梗塞のリスクを高める小型タイプのLDLコレステロールを抑制する働きがあります。
毎日の食事に、こうした食品を取り入れましょう。 - LDLコレステロールの酸化を防ぐ
血液中のLDLコレステロールが酸化すると、動脈硬化が促進され、血栓ができやすくなります。
酸化を引き起こす最大の原因がタバコなので、禁煙をしましょう。
また、酸化を防ぐビタミンCやEを多くふくむ食品(緑黄色野菜、ナッツ類など)をきちんと摂ることも忘れずに。
善玉コレステロールを増やす
- 適度に運動しよう
善玉のHDLコレステロールを増やす最大のポイントは、適度の運動を続けることです。
とくにジョギングやウォーキングなどの有酸素運動は、HDLコレステロールを増やすのに有効です。
どの程度の運動が効果的かは、個人差(年齢や健康状態など)がありますが、ウォーキングであれば1日30分程度を週4日以上おこなうことを目安にしましょう。
また、1日の歩行数が1万歩以上の人は、2000歩未満の人と比較すると、HDLコレステロールが平均で10%以上多いとするデータもみられます。(厚生労働省『国民健康・栄養調査』) - LH比が高い人は、食生活を見直そう
LH比が高い人は、積極的に食生活の見直すことをおすすめします。
生クリームやバラ肉などの飽和脂肪酸の多い食品はLDLコレステロールを過剰にしやすいため、摂取を控えていきましょう。
魚卵など、コレステロールが多い食品も食べ過ぎないよう注意が必要です。
反対に、青魚に含まれるEPAやDHAはHDLコレステロールを増加させるといわれています。
まとめ
LH比とは、「LDLコレステロール値÷HDLコレステロール値」の数値であり、血管の状態を評価するための指標です。
LH比は1.5未満が理想的であり、数値が増えるほど血管内壁にコレステロールが付着して血管が「ドロドロ状態」になるリスクが上がるといわれています。
健康リスクを避けるためには、LDL・HDLコレステロールの数値を適正にするだけでなく、LH比を低く保つことも重要です。
健康診断を受けて、自分の検査結果からLH比を計算し、コレステロールについて見直す機会を作りましょう。