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卵巣がん

卵巣がんとは

卵巣がんは、卵巣に生じる悪性腫瘍の総称です。
卵巣にはさまざまな細胞や組織がありますが、それらががん化したものをまとめて卵巣がんと呼びます。
初期の卵巣がんは自覚症状がほとんどなく、気付かないうちに進行してしまうことが多い病気です。
そのため、発見された時には半数以上の患者さんが進行がんの状態であると言われています。
卵巣がんは他の婦人科がんと比べると患者数は多くありませんが、年々増加傾向にあります。
日本では2019年に約1.3万人の女性が卵巣がんと診断され、2020年には約5,000人の方が卵巣がんで亡くなっています。
患者さんの年齢は閉経前後の50~60代がピークですが、若い世代から高齢者まで幅広く発症しうる病気です。
卵巣がんは進行してから見つかることが多いため、婦人科のがんの中でも死亡率が高い傾向があります。
しかし治療法も進歩してきており、適切な治療を受けることで治癒や長期生存も十分に期待できる病気です。

卵巣がんの症状

早期の卵巣がんでは目立った症状がない場合がほとんどです。
腫瘍が小さいうちは自覚しにくいため、異変に気付きにくいのです。
しかし、がんがある程度大きくなってくると次第ににサインが現れてきます。
代表的な症状として、下腹部の張りや違和感、腹部の膨満感、腰痛などがあります。
卵巣にできた腫瘍が膀胱や直腸を圧迫すると、トイレが近くなる、逆に尿が出にくくなる、便秘といった症状を引き起こすこともあります。
さらに卵巣がんが進行して腹膜まで広がり腹水が生じると、お腹が目に見えて大きく張ってきます。
この段階では骨盤部の痛みや貧血、体重減少など全身の症状がみられることもあります。
これらの症状は決して卵巣がんに特有なものではなく、他の病気や日常的な不調でも起こりうるため、「年齢のせいかな」「疲れているだけかな」と見過ごされがちです。
しかし症状が長引く場合は注意が必要です。

主な症状のポイント

  • 下腹部の不快感や圧迫感、腹部の張りが続く
  • 腰痛が続く、原因不明の腹痛がある
  • 尿が近い、または出にくい、便秘がちになる
  • 下腹部にしこりを触れる感じがある、お腹が明らかに膨れてきた
  • 食欲不振や少量でお腹がいっぱいになる(早期満腹感)
  • 症状の進行とともに、骨盤部の痛み、体重減少、貧血などがみられることもある


これらの症状が複数当てはまり、しかも数週間以上続く場合には放置せず婦人科を受診しましょう。

卵巣がんの原因

がん全般と同様、卵巣がんにも「これをすれば必ず発症する」という単一の原因はありません。
ただし、卵巣がんになりやすくなる危険因子はいくつか知られています。
これらは生活歴や体質などに関わる要素で、当てはまるからといって必ず発症するわけではありませんが、複数該当する場合は注意が必要です。

卵巣がんの主なリスク要因

  • 加齢
    年齢が上がるほど卵巣がんのリスクは高まります。
    卵巣がん患者は中高年に多い傾向があります。
  • 妊娠・出産歴がない
    一度も妊娠・出産を経験していない女性ほどリスクが高いことが知られています。
    逆に言えば、妊娠・出産の経験は卵巣がんの発症リスクを下げる要因となります。
  • 初産年齢が高い
    初めての出産年齢が高齢だった場合もリスク要因の一つです。
  • 月経の期間が長い
    初潮が早かった人、あるいは閉経が遅かった人では、生涯の排卵回数が増えるため卵巣がんのリスクが高まると考えられます。
  • 家族歴
    母親や姉妹など近親者に卵巣がん患者がいる場合、一般の人よりリスクが高まります。
    また、卵巣がんだけでなく乳がんや子宮体がん、大腸がんなどが身内に多い家系も注意が必要です。
  • 遺伝要因
    特定の遺伝子の変異によって卵巣がんを発症しやすくなることがあります。
    特に有名なのがBRCA1/BRCA2という遺伝子の変異で、これがあると卵巣がんや乳がんのリスクが著しく高くなります。
    実際、卵巣がん全体の約10%前後はこのような遺伝的要因によるとされています。
    BRCA1/2の変異による家族性の卵巣がんや乳がんが起こる体質は「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」と呼ばれます。
    その他、まれに大腸がんなどと合併しやすい遺伝体質でも卵巣がんのリスクが高まります。

以上のような要因が組み合わさって卵巣がんの発症リスクに影響すると考えられています。
ただし、リスク要因に該当しなくても卵巣がんになる人はいますし、逆に該当していても発症しない人も多くいます。
あくまで「なりやすさ」の目安と考え、過度に不安になる必要はありません。

なお、避妊目的で使用される経口避妊薬は、卵巣がんの発症リスクを大幅に低下させることが知られています。
排卵の回数を減らすことで卵巣への負担が軽くなるためと考えられます。
ただしピルには副作用もあり、誰にでも勧められるものではありません。
医師と相談し、それぞれの体質や状況に応じた選択をすることが大切です。

卵巣がんの治療

卵巣がんと診断された場合、治療の柱は手術と薬物療法です。

基本的にはまず手術で可能な限り腫瘍を摘出し、その後に残ったがん細胞に対して抗がん剤を行うのが一般的な流れです。
手術では、多くの場合両方の卵巣と卵管、および子宮を切除します。
さらに卵巣がんが転移しやすい胃の下にある脂肪の膜やリンパ節、場合によっては周囲の臓器も含めて取り除くことがあります。
手術の範囲はがんの広がり具合や組織型によって決まり、執刀医が手術中に行う顕微鏡検査で良性か悪性かを確認しながら進めることもあります。
手術後はほとんどのケースで抗がん剤治療を追加します。
卵巣がんは化学療法が比較的よく効くがんとされており、術後の補助療法として複数回にわたり抗がん剤を点滴や内服投与することで、体内に残った目に見えないがん細胞を叩きます。
代表的な薬剤はカルボプラチンやパクリタキセルなどで、これらを組み合わせた治療が標準的です。
最近ではがん細胞の特定の分子を狙い撃ちする新しいタイプの薬も登場しており、再発予防や再発時の治療に用いられることがあります。
例えば、ベバシズマブ(血管新生阻害薬)やPARP阻害薬(遺伝子修復を阻害する薬)が患者さんの状態に応じて追加されることがあります。
これらにより治療効果の向上が期待できます。

卵巣がん治療では、患者さん一人ひとりの病状や希望に合わせた治療計画を立てることが重要です。
例えば、がんが進行して手術で全部取り切ることが難しいと判断された場合、手術の前に先に化学療法を行って腫瘍を小さくしてから手術をする戦略を取ることもあります。
一方、比較的早期に発見され、がんが片方の卵巣に限局しているような場合は、妊娠・出産を希望する若い患者さんでは子宮と反対側の卵巣を温存する「妊孕性温存手術」が選択肢になることもあります。
このように治療法の選択肢は複数あり、患者さんの全身状態やライフプランも考慮しながら主治医と十分に相談して決めていきます。


早期発見のポイント

卵巣がんは一般に初期の自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行するため、多くは発見時に進行がんの状態になります。
症状が出ても腹部の張りや便秘・頻尿など、日常的な不調と似ているため早期診断が難しい病気です。

早期発見のポイントは、こうした症状でも長引く場合は見過ごさず婦人科を受診しましょう。
特に、閉経後や出産経験がない方、家族に卵巣・乳がんの人がいる場合などリスク因子がある方は定期的な検診を心がけましょう。
また、親や兄弟姉妹などの近親者に卵巣がんや乳がんを発症した人が複数いる場合や、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)などの遺伝的要因が考えられる場合は、遺伝子検査によるリスク評価が検討されます。
卵巣がんに有効なスクリーニング検査はありません。
そのため、日頃から自身の体調変化に敏感になり、必要に応じて超音波検査や腫瘍マーカー(CA125など)の検査を受けることが重要です。

予防の基礎知識

卵巣がんは女性の卵巣に発生する悪性腫瘍で、早期には自覚症状が乏しく気付きにくい病気です。
そのため多くの場合、発見された時にはすでに進行しています。
現時点で卵巣がんを確実に防ぐ特別な方法は一般向けには確立されていませんが、リスクを下げるために役立つ要因がいくつか知られています。

卵巣がんのリスクには、生涯の排卵回数に関連するものが重要です。
排卵の回数が多いほどリスクが高まり、逆に妊娠・出産や授乳などで排卵しない期間があるとリスクは低下します。

避妊目的で使われる低用量ピル(経口避妊薬)の服用も、卵巣がんの発症リスクを減らす効果があります。
研究では5年以上の継続服用でリスクが約半分に減少することが報告されています。
ただしピルには血栓症などの副作用もあり、喫煙中の方や高齢の方など使用できない場合もあります。
使用する場合は必ず医師と相談し、リスクと利益を十分に考慮してください。

遺伝的要因としてBRCA1/2遺伝子の変異があり、これがあると卵巣がんの発症リスクが大幅に上昇します。
家族に卵巣がんや乳がんの患者さんがいる場合は、医師に相談して遺伝子検査やカウンセリングを検討してください。
BRCA変異が確認された場合、将来の妊娠を希望しない時期に予防的に卵巣と卵管を摘出する手術を行うことがあります。
この手術によって卵巣がんの発症リスクを大幅に減らすことができます。

また、喫煙や肥満など生活習慣もがん全般のリスクを高めます。

禁煙や適正体重の維持、栄養バランスの良い食事、適度な運動といった健康的な生活習慣は卵巣がんを含む様々ながん予防に役立ちます。


残念ながら卵巣がんには有効な定期検診方法がなく、症状が現れるまで見つけにくいのが現状です。
そのため下腹部の張りや腹部膨満感、腹痛、食欲不振、頻尿などの症状が続く場合には早めに医療機関を受診してください。
特にリスク要因や家族歴がある方は日頃から婦人科で相談し、必要に応じた対策を取りましょう。

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