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自然気胸

自然気胸とは

自然気胸は、外的な衝撃や怪我がないにも関わらず、肺に穴が開き、胸の中に空気が漏れ出ることで肺が部分的または完全にしぼんでしまう(虚脱する)病気です。
肺からの空気漏れによって起こるもっとも一般的な気胸を指し、外傷性のものとは区別されます。
自然気胸には、大きく分けて原発性自然気胸と続発性自然気胸の2種類に分けられます。
前者は特に明らかな誘因がなく若い人に発症し、後者は肺の持病が原因となるため、まず元の病気の治療が優先されます。
自然気胸は10〜20代や60代以上の高齢者まで幅広い年齢層で発症しますが、特に多いのは20歳前後の若い男性と60歳代の高齢者です。
若い患者さんでは男性が多く、背が高くて痩せ型の体型が特徴的です。
一方、高齢の患者さんでは喫煙者で低栄養状態の方に多い傾向があります。
高齢者では肺機能が低下しているため治療に時間がかかったり、治療後に再発しやすいことも少なくありません。

近年では、診断や再発予防のための画像検査が進化しています。
通常は胸部X線検査で確認できますが、ごく軽度の気胸ではX線で見逃されることもあり、その際は胸部CT検査で初めて診断されることがあります。
また胸部CTで肺にできた嚢胞の数や大きさを評価し、気胸の原因となる肺疾患がないか詳しく調べることも行われています。

自然気胸の症状

自然気胸ではある日突然、片側の胸に鋭い痛みや息苦しさを自覚して発症に気づきます。ときにせきが出ることもあります。
症状の現れ方や強さには個人差がありますが、一般的に気胸の程度によって異なります。

肺の虚脱の程度に応じて、軽度・中等度・高度に分類され、症状は次のような違いがあります。

  • 軽度の気胸
    症状がまったく現れないこともあります。
    ごく軽い胸の違和感程度で、胸部レントゲン検査を受けて初めて見つかるケースもあります。
     
  • 中等度の気胸
    胸痛と息切れにより日常動作が制限され、安静が必要になります。
    呼吸時に患側の胸に痛みを感じ、動くと息苦しくなります。
     
  • 高度の気胸
    激しい呼吸困難に陥り、少し体を動かすだけでも息が切れるようになります。
    唇や顔面が紫色になるチアノーゼや血圧低下によるショック症状が現れ、生命を脅かす重篤な状態です。


多くの場合、胸の痛みや息苦しさが突然始まります。
症状が軽ければわずかな息切れや胸痛で済みますが、重症になると上記のようにショックに陥ることもあります。
痛みは片側の胸に集中することが典型的ですが、稀に肩や首、お腹に痛みが放散することもあります。

自然気胸の原因

原発性自然気胸は、肺の病気がない健康な人に起こる気胸です。
肺の表面近くにできたブラ(小さな嚢胞状の風船)が破裂し、そこから空気が漏れることで発症すると考えられています。

発症のきっかけはさまざまで、安静時に生じることもありますが、くしゃみなどの日常の何気ない動作で生じる場合もあります。
リスク要因としては前述のように喫煙歴が重要で、喫煙者は非喫煙者に比べて気胸を起こすリスクが高まります。
また、家族に自然気胸の患者さんがいる場合は遺伝的にブラ(小さな嚢胞状の風船)ができやすい体質を持っている可能性が指摘されています。

続発性自然気胸は、肺の基礎疾患が原因となって発生します。
高齢の肺気腫(COPD)患者でブラ(小さな嚢胞状の風船)が破裂するケースが代表的ですが、肺線維症や喘息、感染症など、さまざまな肺疾患に伴って発生することもあります。
若い女性にまれに起こる月経随伴性気胸も続発性気胸の一種で、月経開始のたびに気胸を繰り返すことがあります。
原因は子宮内膜症による胸膜の穴と考えられています。
喫煙習慣は肺に慢性的な炎症と嚢胞形成を引き起こし、原発性・続発性のいずれにおいても気胸リスクを高めます。
実際、喫煙者では自然気胸の発症リスクが高くなるため、禁煙が重要です。

遺伝的な体質が関与する気胸もあります。
家族に気胸を繰り返す人がいる場合、肺にブラ(小さな嚢胞状の風船)ができやすい遺伝的素因が疑われます。
実際、Birt-Hogg-Dubé症候群(BHDS)というまれな遺伝性疾患では若年から自然気胸を繰り返し、家族性気胸の原因として知られています。

自然気胸の治療

自然気胸の治療は、気胸の程度や再発歴によって選択されます。
基本的な方針は、しぼんだ肺を再び膨らませて元の状態に戻すことです。
具体的な治療法として次のようなものがあります。

  • 安静・経過観察
    肺のしぼみがごく軽度で呼吸状態が安定している場合は、入院せず安静にして経過をみます。
    自然に空気漏れが止まり、体内に漏れた空気は徐々に吸収されるのを待ちます。
    必要に応じて酸素投与を行うこともあります。
     
  • 胸腔ドレナージ
    気胸が中等度以上の場合は、漏れた空気を体外に排出して肺を膨らませる処置が必要です。
    局所麻酔を行い、肋骨の間から数ミリ径のドレーン管を胸腔内に挿入して、溜まった空気を体外へ抜きます。
    肺が再び膨らんだら管を留置して様子を見て、空気漏れが止まったのを確認して抜去します。
    比較的簡便な治療ですが再発率は30〜50%程度とされ、ドレーン治療後に同じ側の気胸が再発する例も珍しくありません。
     
  • 手術
    気胸を繰り返し再発している場合や、ドレナージ後も空気漏れが続く場合、早期に確実な再発防止を図りたい場合などに外科手術が検討されます。
    手術は全身麻酔下で行い、胸に小さな穴を開けて内視鏡を入れる胸腔鏡手術が主流です。
    内視鏡カメラで胸腔内を観察しながら、特殊なホッチキスのような自動縫合器で原因となったブラ(小さな嚢胞状の風船)ごと周囲の肺を切除し、縫い縮める方法が一般的に行われています。
    場合によっては糸で縛って塞ぐような縫合手術が行われることもあります。
    さらに再発のリスクを下げるため、肺の表面を医療用シートで覆って補強したり、胸膜にわざと傷をつけて癒着しやすくする処置を追加することもあります。
    こうした手術により、術後の再発率は大幅に減少し5〜10%程度と報告されています。
    手術後の回復は早く、若い方なら術後数日で退院可能です。

  • 胸膜癒着療法
    心肺の持病などで全身麻酔の手術が困難な場合には、代替策として薬剤による胸膜癒着療法を行います。
    OK-432などの薬剤を胸腔内に注入し、強い炎症によって肺と胸壁を癒着させて穴を塞ぐ方法です。
    外科手術に比べ成功率はやや劣りますが、手術ができない例での選択肢となります。
     

適切な治療によって、多くの患者さんは元の肺の状態へ回復します。
自然気胸は一般に致命率が低い病気ですが、再発率が高い点には注意が必要です。
再発を繰り返す場合には根本的な予防策として外科手術が検討されます。

早期発見のポイント

自然気胸は突然起こるため発症自体を完全に防ぐことは困難ですが、早期に気づいて対処することが重要です。
特に若年男性で喫煙者などリスクが高い人は胸の異変に注意しましょう。
片側の胸の痛みや呼吸困難を感じたら気胸を疑い、できるだけ早く医療機関で診察を受けることが大切です。
多くの場合、胸部X線検査ですぐ診断がつきます。

一度気胸を経験した患者さんは、「以前と同じ痛み」と感じた時点で早めに診察を受けるよう心がけましょう。
症状が急速に悪化する場合は迷わず受診してください。

予防の基礎知識

自然気胸を完全に予防する方法は確立されていませんが、生活習慣を見直すことで再発リスクを低減することは可能です。
まず喫煙をしないことが最も重要です。
喫煙は肺にダメージを与え再発の大きなリスクとなるため、この機会に禁煙に取り組みましょう。

また、激しい運動や胸腔内圧が急激に変化する動作は避けた方が良いでしょう。
治療直後は医師の指示に従い安静にします。
スキューバダイビングは厳禁です。
潜水中に再発すると命に関わるためです。
同様に、完治直後に飛行機に乗ったり高所登山をしたりする場合も主治医と相談してください。
高齢の方は低栄養がリスクになるため、栄養管理にも留意しましょう。

過度に再発を恐れて活動を控えすぎる必要はありません。
医師の指示を守りつつ普段どおりの生活を送り、胸の痛みや息苦しさなど異変を感じたら早めに受診する、この冷静な対処が再発予防につながります。

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