今、はしかが増えている!?ワクチン接種で予防できていますか?
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近年、海外で流行した麻疹(はしか)が日本にも持ち込まれ、ニュースになることが増えてきました。麻疹は「昔の病気」「子どもだけの病気」と思われがちですが、実際には大人も重症化するおそれのある感染症です。ワクチンを受けた記憶があいまいな方や、母子手帳が手元になく接種歴がわからない方も少なくありません。麻疹はワクチンで予防できる病気です。一方で、予防接種を受けていない、あるいは1回しか接種していない場合には、感染するリスクが高くなります。本記事では、麻疹の症状や合併症、世代によって異なるワクチン接種歴、自分の免疫があるか確かめる方法、実際にかかった場合の対応まで、医師の立場からわかりやすく解説します。
麻疹(はしか)とはどんな病気?
麻疹は、麻疹ウイルスによって起こる急性の感染症です。感染力が非常に強く、免疫のない人が接触すると、ほぼ感染すると言われるほどです。飛沫感染(咳やくしゃみのしぶき)だけでなく、空気中を漂うウイルスを吸い込むことでうつる「空気感染」も起こるため、同じ室内にいただけで感染することもあります。
一度かかると高熱や全身の発疹が出て、強いだるさが続きます。多くは回復しますが、肺炎や脳炎などの重い合併症を引き起こすこともあります。ワクチンが普及する前は、世界中で多くの子どもが麻疹で命を落としていました。現在でも、ワクチン接種率が十分でない地域では流行が続いており、海外からの持ち込み症例が日本で発生することがあります。
麻疹の症状と経過
麻疹は、一般的に「カタル期」「発疹期」「回復期」という3つの時期をたどります。
カタル期(風邪に似た症状の時期)
感染から10〜12日ほどの潜伏期間のあと
- 38度前後の発熱
- 鼻水、くしゃみ
- 咳
- 結膜の充血、強いだるさ
などが現れます。はじめは普通の風邪と見分けがつきにくい段階です。口の中の頬の粘膜に、小さな白い斑点(コプリック斑)が見られることもあります。学校や職場では、この時期からすでに周囲にうつす可能性がある点に注意が必要です。
【発疹期】
数日後、熱がいったん少し下がったあと、ふたたび39度以上の高熱が出て、同時に発疹が現れます。発疹は耳の後ろや髪の生え際、顔から始まり、首・胸・おなか・腕・足へと全身に広がっていきます。発疹期の熱や倦怠感は強く、食欲不振やぐったりした状態が続くことも少なくありません。
【回復期】
発疹は3〜4日ほど続いたのち、少しずつ色が薄くなり、茶色っぽい色素沈着を残して消えていきます。解熱とともに全身状態は次第に回復していきますが、合併症が起こっている場合には、症状が長引いたり悪化したりすることがあります。
麻疹(はしか)で起こりうる合併症
麻疹は「発疹が出て終わり」ではなく、合併症が問題になる病気です。主な合併症として、次のようなものが知られています。
- 肺炎
- 中耳炎
- 脳炎(急性脳炎)
- けいれん
- 難聴
- 失明につながる角膜障害
- 数年〜十数年後に発症する亜急性硬化性全脳炎(SSPE)
特に、乳幼児や栄養状態の悪い方、免疫力が低下している方では、重症化しやすいとされています。脳炎を起こした場合、命に関わるだけでなく、けいれんや知的障害などの後遺症が残ることもあります。
一度麻疹にかかると、体の免疫のバランスが乱れ、一時的に他の感染症にもかかりやすくなるといわれています。こうした点からも、麻疹は「かかって治せばよい病気」ではなく、ワクチンで事前に予防しておくことが重要です。
なぜ今、麻疹(はしか)が問題になっているのか

日本ではワクチンの普及により麻疹患者は大きく減少しましたが、近年でも海外からの持ち込みによる散発的な流行が見られます。その背景には、世代によってワクチン接種歴が異なるという事情があります。
おおまかな傾向として、次のような世代が麻疹に対する免疫を十分に持っていない可能性があると言われています。
- 50歳代以上:ワクチンが導入される前に子ども時代を過ごしており、自然感染で免疫を獲得した人もいますが、ワクチン未接種のままの人も少なくありません。
- 20〜40歳代の一部:子ども時代に麻疹ワクチンを「1回だけ」接種している世代が含まれ、十分な免疫が保たれていない方がいるとされています。
現在では、麻疹風しん混合ワクチン(MRワクチン)の定期接種として、幼児期に2回の接種が行われています。2回接種することで、多くの人が長期間にわたり高い免疫を維持できるとされていますが、過去に1回のみの接種しか受けていない方は、免疫が不十分な可能性があります。
海外旅行者や海外からの来日者が増えている現在、国内に麻疹ウイルスが持ち込まれる機会はゼロではありません。自分の接種歴を確認し、必要に応じて追加接種を検討することが大切です。
自分に麻疹(はしか)の免疫があるか確認する方法
「自分が麻疹ワクチンを何回受けたか覚えていない」「母子手帳をなくしてしまった」という方も多いと思います。麻疹に対する免疫の有無を確認するには、次のような方法があります。
▶︎母子手帳や予防接種記録を確認する
子どもの頃の接種歴は、母子手帳に記録されていることがほとんどです。実家に保管してある場合もあるので、一度探してみましょう。自治体によっては、過去の接種記録を確認できる場合もあります。
▶︎血液検査(抗体検査)を受ける
医療機関で採血を行い、麻疹ウイルスに対するIgG抗体の有無や量を調べる検査です。十分な抗体があれば、過去の感染やワクチン接種により免疫がついていると考えられます。抗体価が低い、もしくは陰性の場合には、ワクチン追加接種を検討します。
抗体検査は自費になることが多く、費用は数千円〜1万円程度が目安です。具体的な金額や検査方法は、受診する医療機関で確認してください。
接種歴や抗体検査の結果は、今後のワクチン接種計画を考える上で重要な情報です。妊娠を希望している方や、医療・保育・教育関係の仕事に就いている方は、早めに確認しておくと安心です。海外渡航や留学を予定している方も、出発前に一度チェックしておくと良いでしょう。
麻疹(はしか)を防ぐためのワクチン接種
麻疹を予防する最も確実な方法は、
- 麻疹ワクチン
- 麻疹風しん混合ワクチン(MRワクチン)
のどちらかをを接種すること
定期接種の対象となる年齢のお子さんは、原則として決められたスケジュールで2回の接種を受けることが推奨されています。
大人の場合、接種歴や抗体検査の結果にもよりますが、少なくとも1回、必要に応じて2回の接種を行うことで、麻疹に対する免疫を高めることが期待できます。ワクチンは自費診療となるケースが多く、費用は医療機関によって異なりますが、1回あたり1万円前後が目安です。自治体によっては助成制度を設けているところもあるため、住んでいる地域の情報も確認してみましょう。
発熱や強い体調不良がある場合、妊娠中の方、一部の基礎疾患がある方などは、ワクチン接種ができない場合があります。持病がある方や服薬中の薬がある方は、必ず事前に医師に相談してください。妊娠を希望している方は、妊娠前にワクチン接種や抗体検査を済ませておくことがすすめられます。
妊娠を考えている方・基礎疾患のある方が気をつけたいポイント
麻疹は、妊婦さんや重い基礎疾患を持つ方にとって、特に注意が必要な感染症です。妊娠中に麻疹にかかると、高熱や全身状態の悪化により、流産や早産のリスクが高まるとされています。そのため、妊娠を予定している方は、事前に麻疹の免疫が十分かどうかを確認し、必要に応じてワクチン接種を検討することが大切です。
また、心疾患や呼吸器疾患などの基礎疾患がある方、免疫を抑える薬を使用している方は、麻疹にかかった場合に重症化する可能性があります。こうした方は、主治医と相談しながら、抗体検査やワクチン接種のタイミングを決めていきます。家庭内に乳幼児や妊婦さん、基礎疾患のある家族がいる場合も、周囲の大人がワクチンで自分を守ることが、そのまま家族を守ることにつながります。
もし麻疹(はしか)にかかったら
麻疹ウイルスそのものを直接やっつける特効薬はなく、治療の基本は安静と対症療法(症状を和らげる治療)です。
などのときは、すぐに医療機関を受診する
麻疹は、発疹が出る前からすでに周囲へうつす力があります。また、解熱後もしばらくは感染力が続きます。周りの人への感染を防ぐため、医師の指示があるあいだは登校や出勤を控え、自宅で静養することが大切です。学校や職場への復帰時期についても、診断した医師と相談して決めましょう。
もし麻疹が疑われたときの行動
麻疹は感染力が非常に強く、発疹が出る前から周囲にうつす可能性があります。疑った時点での行動が、家族や職場・学校を守ることにつながります。
まず確認したい「麻疹を疑うヒント」
麻疹は、初期は風邪に似ているため見分けがつきにくいことがあります。特に「発熱の経過」と「発疹の出方」、そして「接触・渡航の状況」が手がかりになります。次のようなポイントが重なる場合は、麻疹の可能性を考えて早めに相談しましょう。
- 高熱が続いている(いったん下がって再び高熱になることもあります)
- 風邪のような症状(咳、鼻水、結膜の充血、強いだるさ)がある
- 顔(髪の生え際、耳の後ろ)から発疹が広がってきた
- 周囲に麻疹患者がいる/流行地域への渡航歴がある/海外からの来客と接触した
- ワクチン接種歴が不明、または1回のみの可能性がある
受診のしかた(ここが最重要)
麻疹は空気感染も起こりうるため、疑いがある方が待合室に入ると、免疫のない人へ一気に広がる危険があります。受診は「直接行く」ではなく「事前に連絡して指示を受ける」が基本です。
- 受診前に医療機関へ電話で相談する
- 「麻疹が心配」「発熱と発疹がある」「接触歴や渡航歴がある」などを具体的に伝える
- 医療機関の指示(来院時間、入口、待機場所)に従う
- 公共交通機関の利用はできるだけ避ける
自宅での過ごし方(周囲にうつさない工夫)
診断がつくまでの間は、「自分の症状を軽くする」よりも「周囲にうつさない」ことを優先します。麻疹は同じ部屋にいただけでも感染が起こり得るため、できる範囲で接触を減らしましょう。
- 外出を控える(買い物などは家族に依頼)
- 可能なら部屋を分ける/換気を行う
- 咳がある場合はマスクを着用する
- 手洗いをこまめに行う
- タオル、食器、歯ブラシなどの共用を避ける
家族・職場・学校(濃厚接触者)がすべきこと
麻疹が疑われる方と同じ空間にいた人は、「免疫があるかどうか」の確認が最優先になります。接種歴がはっきりしているほど、次の対応が取りやすくなります。
- 母子手帳などでMRワクチン2回接種が確認できるか
- 接種歴が不明/1回のみの場合は医療機関へ相談する
- 必要に応じて抗体検査を検討する
- 接触後できるだけ早い段階で追加接種を検討することがあります
- 乳幼児、妊婦さん、免疫が低下している方は対応が変わるため早めに相談する
出勤・登校の再開は自己判断しない
麻疹は解熱しても、一定期間は感染力が残るとされます。「熱が下がったから大丈夫」と自己判断すると、職場や学校で二次感染が起こる可能性があります。復帰は医師の指示に沿って進めましょう。
- 復帰の時期は診断した医師の指示に従う
- 職場や学校には、医師の指示(待機期間の目安)を踏まえて連絡する
- 周囲に妊婦さんや乳幼児がいる環境では、特に慎重に対応する
まとめ|麻疹(はしか)から身を守る
麻疹(はしか)は、今でも世界各地で流行している感染症であり、日本でも海外から持ち込まれたウイルスによる患者発生が続いています。高熱や発疹だけでなく、肺炎や脳炎などの重い合併症を起こすことがあり、決して「軽い病気」ではありません。
一方で、麻疹はワクチンでしっかりと予防できる病気でもあります。自分の接種歴や抗体の有無を確認し、必要に応じて追加接種や抗体検査を受けることで、ご自身はもちろん、家族や周囲の大切な人を守ることにつながります。
「自分はワクチンを受けたか記憶があいまい」「海外渡航の予定がある」「小さなお子さんや妊娠中の家族がいる」といった場合には、早めに医療機関に相談してみてください。正しい知識と適切な予防策を身につけ、麻疹からご自身と周りの人の健康を守っていきましょう。


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