慢性閉塞性肺疾患(COPD)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)はこんな病気
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)は、近年、最も注目されている「肺の生活習慣病」です。
タバコの煙などの有毒なガスや粒子に長期間曝露(ばくろ)されることにより生じる慢性・進行性の肺の病気です。
気道が狭くなる状態(閉塞)が持続する病気で、咳や痰が多くなる気管支炎と、主に呼吸困難の原因となる肺の組織破壊(肺気腫)が混在し、多くは50歳以上になってから症状が現れて診断されます。
初期段階では胸部レントゲンで異常が検出されにくいため、症状が出る前に診断されることは比較的少なく、そのためCOPDの患者数は、過去には過小評価されていたと考えられます。
疫学調査によれば、40歳以上の日本人のうち約530万人がCOPDに罹患していると考えられますが、そのうちの90%は調査時点でCOPDと診断されていませんでした。
死亡原因の9位となっており、特に男性では7位と高い死亡原因になっています。

感染すると、次の症状が出ます。
- 長期間続く咳や痰
- 息切れや息苦しさを感じる
- 呼吸をする時にゼーゼー・ヒューヒューと変な音がする
- 体重の減少
- 皮膚の変色
- 気胸
感染すると、次の症状が出ます。
初期は無症状ですが、病気が進行すると、慢性の咳、痰、ゼーゼーとした呼吸、動いた時の息苦しさなどが出てくるようになります。
さらに進行すれば、安静でも呼吸困難を感じるようになり、日常生活に支障を来します。
COPDは現在、在宅酸素療法を必要としている患者さんの最も多い病因です。
病状の進行とともにウイルス、細菌などによる気管支炎や肺炎を合併しやすくなり、その際は咳、痰の増加や発熱、呼吸困難の悪化など、急激に症状が出てくることがあります。(急性増悪)
慢性の呼吸困難が悪化するとともに食欲低下、痩せ、活動性低下、時にうつなどの精神症状がみられることがあります。
一度COPDになると肺は元通りに戻らず、症状が進行してしまうと酸素ボンベを一生使用することにもなります。
肺炎や肺癌など他の病気を合併しやすいです。
特にCOPDの方は健康的な方に比べておよそ10倍も肺癌を合併しやすく、早期発見・早期治療が重要です。
治療としては禁煙が最も重要になります。
進行を止めることができ、症状も軽減されます。
禁煙した上で気管支を広げるお薬を服用することで呼吸が楽になったり、抗炎症薬を服用することで炎症を抑えたりすることができます。
状態がかなり進行している場合は酸素ボンベを携帯し日常過ごすことになります。
COPDの原因
原因のおよそ90%はタバコによるもので、稀に溶接業の職人が金属等化学物質を吸い込むことで発症します。
喫煙者の15〜20%がCOPDを発症すると言われています。
気管支の壁や肺胞がタバコに含まれるニコチンやタール、PM2.5の粒子の有害物質によりダメージを受け、もろくなることで酸素と二酸化炭素の交換ができなくなります。
早期発見のポイント
上記の症状を感じる方は一度内科で診察してもらうことをおすすめします。
肺機能検査(スパイロメトリー)や胸部レントゲン、CT検査で肺の状態を確認できます。
呼吸機能検査では空気を吸う力と吐く力を測定できます。
特に喫煙する方は40代から定期的に検査することをおすすめします。
予防の基礎知識
最も重要なことは禁煙すること、周りの人が喫煙している場合は受動喫煙を避けることです。
もしすでに発症している方は禁煙及びワクチン接種等の感染症対策をすることが大切です。
生活習慣の改善も大切です。運動をしたり、バランスのとれた栄養を摂取することで症状の緩和や重症化を予防できます。
薬による治療で進行を遅らせたり、症状を緩和することが可能です。