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胆道がん(肝外胆管がん、胆嚢がん)

胆道がんとは

胆道がんとは、肝臓でつくられた胆汁の通り道である「胆道」に発生するがんの総称です。
胆道には肝臓内の胆管・肝外胆管・胆嚢・十二指腸乳頭部などが含まれますが、特に肝臓の外にある胆管にできる肝外胆管がんと、胆嚢にできる胆嚢がんが代表的です。
肝臓内の胆管にできる肝内胆管がんもありますが、これは発生部位の分類上は肝臓がんに含まれ、性質が異なるため通常別扱いされます。

胆道がんは比較的まれながら日本では毎年約2万2千人ほどが新たに診断されており、高齢者に多く見られます。
胆嚢がんは特に60歳以上で発症リスクが高まります。
早期に発見されれば手術で根治も期待できますが、胆道がん全体の5年生存率は20~30%程度と低く、進行がんでは治療が難しい疾患です。
そのため早期発見・治療がとても重要です。

胆道がんの症状

胆道がんの主な症状には黄疸、腹部の痛み、体重減少などがあります。
黄疸は、胆汁の通り道である胆管ががんでふさがれ胆汁が滞留することで生じます。
黄疸になると尿が濃い茶色になったり、逆に胆汁が腸に流れないため便が白っぽくなることがあります。
黄疸が進むとかゆみや倦怠感、食欲不振、体重減少もみられることがあります。

また、胆管閉塞によって胆汁がうっ滞し細菌感染を起こすと胆管炎になり、高熱が出ることもあります。
腹痛はみぞおちから右上腹部にかけて感じることが多く、腫瘍が大きくなると現れます。
特に胆のうがんでは、胆石発作や胆のう炎による痛みがきっかけとなって発見されることもあります。

胆道がんは初期段階では自覚症状が少ないことが特徴です。
胆のうがんでは30~40%が無症状のまま進行すると報告されており、症状が出た時にはすでに進行しているケースも少なくありません。

胆道がんの原因

胆道がんの明確な原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因や危険因子が知られています。
ひとつは胆石症やそれに伴う慢性胆のう炎です。
胆のうがん患者さんの約50~60%には胆石の合併がみられ、胆石による長年の刺激や炎症が発がんに関与すると考えられています。
また、原発性硬化性胆管炎などの胆管の慢性炎症も胆管がんの危険因子とされています。
先天的な胆道の異常も重要です。

たとえば膵臓と胆管の合流部の生まれつきの奇形である先天性胆道拡張症は胆道がん発症リスクを大きく高めます。
そのため、膵・胆管合流異常が見つかった場合は将来の胆道がん予防のため胆のうを予防的に切除することも推奨されています。

その他の危険因子としては、加齢、生活習慣、喫煙や糖尿病が挙げられます。
まれに家族性に胆道がんが集積することも報告されていますが、多くは遺伝より環境因子の影響と考えられています。
日本では職業性に塩素系有機溶剤へ長期間曝露した印刷工場労働者で胆管がんの発症率が高まった事例があり、ジクロロメタンや1,2-ジクロロプロパンなどの化学物質もリスク因子とされています。

胆道がんの治療

胆道がんの治療法には、手術・薬物療法・放射線治療などがあります。

手術療法

根治を目指せるのは主に手術による切除であり、まず手術で完全にがんを取り除けるかを検討します。
手術が可能と判断された場合は外科的切除を行います。
胆のうがんで早期のもの(がんが胆嚢壁内にとどまる場合)であれば、お腹を大きく切らなくても胆石症と同様に腹腔鏡下で胆嚢を摘出する手術のみで治癒が期待できます。
しかし進行した胆嚢がんや肝門部胆管がんでは、がんを取り切るためにしばしば肝臓の一部と肝外胆管、周囲のリンパ節を一括して切除する大きな手術が必要です。
切除後は残った肝臓内の胆管を小腸につなぐ再建手術を行い、胆汁の流れ道を作ります。
がんの位置が十二指腸寄りの遠位胆管がんなどでは、肝臓ではなく膵頭十二指腸切除が追加されることもあります。
これら胆道がんの手術は長時間におよぶ大手術で、高度な技術が必要です。

薬物療法

画像検査で遠隔転移や広範な浸潤が認められ手術ができない場合は、薬物療法を中心とした治療になります。
胆道がんに対して効果が確認された抗がん剤を組み合わせ、がんの進行抑制や症状緩和を図ります。

放射線治療・緩和ケア

場合によっては放射線治療を併用し、局所のがんを縮小させたり痛みなど症状を和らげたりすることも検討されます。
これら積極的治療に加えて、病状に応じた緩和ケアも非常に重要です。
緩和ケアとは、がんによる痛みや黄疸などの症状を和らげ患者さんの生活の質を維持・向上させる医療です。
胆道がんは進行すると症状がつらくなることが多いため、治療中から適切な痛み止めの使用や胆道ドレナージなどで苦痛を軽減します。
また食事や栄養の工夫、心理的サポートも含めて包括的にケアを行い、ご本人が少しでも穏やかに過ごせるよう支援します。
緩和ケアは終末期だけでなく治療と並行して受けることができるので、遠慮なく主治医と相談してください。

早期発見のポイント

胆道がんを早期に発見するのは簡単ではありませんが、いくつかポイントがあります。
まず定期的に健康診断を受けることが大切です。
健康診断の腹部超音波検査は苦痛も少なく胆嚢ポリープや胆石など胆道の異常を見つけるのに有用です。
胆嚢がんは超音波検査で早期に発見されることもあり、自覚症状がなくても年1回程度の検査を継続することで異常の早期検出につながります。
血液検査で肝機能や胆道系酵素の異常が指摘された場合も、精密検査を受けましょう。
何らかの兆候がある場合には、CTやMRIなどの画像診断が行われます。
造影CTやMRIでは胆管の狭窄や腫瘤を詳しく調べることができ、胆道がんの診断・病期判定に有用です。
さらに必要に応じて内視鏡的逆行性胆管造影検査で胆管を直接造影したり、組織の一部を採取して生検することもあります。

一方、日常生活で「黄疸かな?」と思うような皮膚や白目の黄ばみに気付いた場合や、原因不明の右上腹部の痛み、皮膚のかゆみ、白っぽい便や濃い尿など胆汁うっ滞を思わせる症状が出た場合は、放置せず早めに受診することが早期発見につながります。
特に胆石症と言われている方や膵・胆管合流異常などリスク因子を持つ方は定期検査を欠かさず、少しでも異常があれば詳しい検査を受けるよう心がけましょう。

予防の基礎知識

胆道がんの明確な予防法は確立していませんが、リスクを減らすために生活習慣の改善が勧められます。

他の多くのがんと同じく、禁煙は非常に重要です。
また、高脂肪食や過度の飲酒は控え、バランスの良い食事を心がけましょう。
肥満にならないよう適度な運動を行い体重管理をすることも胆石予防につながります。

胆石や胆管炎を繰り返すと胆道がんのリスクが高まる可能性があるため、胆石症や胆嚢炎の適切な治療も予防の一環です。
胆石がある方は定期的に医師のフォローを受け、必要に応じて胆嚢摘出術など予防的処置も検討されます。
膵・胆管合流異常のような先天性の胆道異常が見つかった場合も、将来的な胆道がん発症を予防するために胆嚢切除などの対策が推奨されます。
そして何より早期発見のための定期検診が重要です。

年齢やリスクに応じて人間ドックや地域の検診で腹部超音波や血液検査を受けることで、胆道がんの前ぶれとなる病変の早期発見・早期対応が可能になります。
日頃から体調の変化に気を配り、少しでもおかしいと感じたら専門医を受診することが胆道がんの予防・早期発見につながります。
正しい知識と生活習慣の工夫で胆道がんのリスクを下げ、健康維持に努めましょう。

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