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B型肝炎

B型肝炎とは

B型肝炎は、B型肝炎ウイルスの感染によって起こる肝臓の病気です。
大きく分けて急性肝炎と慢性肝炎の2種類があります。
急性B型肝炎は成人が初めてHBVに感染して発症した状態で、通常は数ヶ月以内に免疫の働きでウイルスが排除され自然に治癒します。
これに対し、B型肝炎ウイルスが体内に残り感染が6ヶ月以上持続すると慢性B型肝炎となります。
慢性化した場合、ウイルスが長期間肝臓に潜むことで肝炎が持続し、放置すると肝硬変や肝がんへ進展する可能性があるため注意が必要です。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるように予備能力が高く、病変が進行しても自覚症状が出にくいです。
そのため、B型肝炎ウイルス感染が判明したら症状がなくても必ず医療機関で肝臓の状態を評価してもらうことが大切です。
なお、日本では成人の急性B型肝炎の多くは自然治癒しますが、新生児や乳幼児期に感染すると高率に持続感染となり慢性肝炎へ移行します。
この違いも踏まえ、B型肝炎は感染時の年齢や免疫状態によって経過が大きく異なる疾患です。

B型肝炎の症状

急性B型肝炎の症状

B型肝炎ウイルスに感染してから約1〜6ヶ月の潜伏期の後、全身の倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐などの症状が現れ、続いて尿の色が濃い茶褐色になったり皮膚や白目が黄色くなる黄疸が出ることがあります。
肝臓が腫れて右上腹部に痛みを感じる場合もあり、これらが急性B型肝炎の典型的な症状です。
ただし症状の程度は様々で、感染者の中には自覚症状がほとんどないまま治ってしまう例も少なくありません。
ごくまれに急性肝炎が重篤化し、肝臓の機能が急激に低下して命に関わる劇症肝炎に陥ることがあります。
劇症肝炎になると高度の黄疸、意識障害や出血傾向などが出現し、緊急の集中治療が必要です。

慢性B型肝炎の症状

慢性B型肝炎ではウイルスが長期間体内に存在しますが、多くの場合は自覚症状に乏しいため、全く症状はみられません。
自覚症状がないまま肝炎が進行し、肝臓の線維化が進んで肝硬変になると、ようやく黄疸、腹水、むくみ、食道静脈瘤出血といった肝不全の症状が現れることがあります。
また慢性のB型肝炎ウイルス感染者は健常者に比べ肝細胞がんを発症するリスクが高く、特に肝硬変まで進展すると肝がんの発生率が大幅に上昇します。
このように慢性B型肝炎は重症化すると重大な合併症を引き起こす恐れがあるため、症状が軽微でも油断せず適切な治療と経過観察が必要です。

B型肝炎の原因

B型肝炎の原因はB型肝炎ウイルスへの感染です。
B型肝炎ウイルスは感染者の血液や体液中に存在し、それらが別の人の血液中に直接入ることでうつります。
主な感染経路や感染しやすい状況は次のとおりです。

  • 性的接触
    B型肝炎ウイルスに感染している人との無防備な性交渉による感染。
    精液や膣分泌液などを介してウイルスが粘膜から侵入します。
  • 血液の混入
    注射針・注射器の回し使いにより他人の血液が体内に入る場合や、誤って感染者の血液が付着した針で刺してしまう針刺し事故などで感染することがあります。
    医療従事者や介護者が患者の血液に触れる際にも注意が必要です。
  • 母子感染
    B型肝炎ウイルスに持続感染している母親から生まれた赤ちゃんにウイルスが移行する経路です。
    出産時の産道での感染が主で、適切な予防処置を取らない場合、出生児は高い確率で持続感染者となります。
  • 経皮的感染
    皮膚や粘膜からウイルスが侵入するケースです。
    例えば、不衛生な器具で行う刺青やピアスの穴あけ、血液を介した民間療法などはB型肝炎ウイルス感染のリスクがあります。
    また、B型肝炎ウイルスは非常に感染力が強いため、微量の血液でも傷口に触れるような状況では感染が生じ得ます。
     

これらの経路以外に輸血による感染などがありますが、現在では輸血による感染は極めてまれです。
日本では輸血用血液に対してHBs抗原検査やHBV-DNAの核酸増幅検査(NAT)まで実施しており、安全性が確保されています。
一方、日常生活での通常の接触でB型肝炎ウイルスがうつることはほとんどありません。
握手や軽いキス、食器の共用、一緒に入浴するといった日常的な接触でB型肝炎ウイルスに感染することはありません。
ただし、傷口同士を介した血液の接触は避けるようにしましょう。

B型肝炎の治療

急性B型肝炎の治療

急性B型肝炎の多くは特別な治療をしなくても数週間~数ヶ月で自然に治癒します。
そのため急性期には安静保持や水分・栄養補給などの対症療法が中心となり、肝機能をサポートしながら経過をみます。
通常、慢性肝炎の治療に用いる抗ウイルス薬は急性肝炎には使いません。
ただし、劇症肝炎へ移行する兆候があるなど病状が重い場合は例外です。
そのような場合には、抗ウイルス薬の投与や血漿交換・血液透析などの肝補助療法を行い、必要に応じて大量のステロイド投与を検討します。
それでも肝不全が進行して命の危険が高まる場合には、肝移植による治療が検討されます。
実際、劇症肝炎の患者さんに対して肝臓移植が行われることがあります。
早期に専門医療機関に搬送し、移植を含めた集中的治療を受けることが生存への鍵となります。
 

慢性B型肝炎の治療

慢性B型肝炎では、体内からB型肝炎ウイルスへを完全に排除することは現在の医療では困難ですが、ウイルスの活動を抑えて肝炎の進行を食い止める治療が可能です。
治療の柱は抗ウイルス療法で、インターフェロン製剤の注射療法と、エンテカビルやテノホビルなどの核酸アナログ製剤の経口療法があります。
インターフェロン療法は一定期間の注射によってウイルス増殖を抑え、治療後にウイルスの活動を長期にわたり抑制できる場合があります。
しかし、副作用もあり、効果が十分得られる患者は限られます。奏功率は30〜40%程度と報告されています。
一方、核酸アナログ製剤はウイルスのDNA複製を阻害し直接ウイルス量を低下させるため、多くの患者さんで肝炎の活動が鎮静化します。
これらの経口薬は副作用が少なく長期投与に適していますが、服用を中断すると再びウイルスが増殖して肝炎が悪化する恐れがあるため、医師の指示のもと継続的に内服する必要があります。
現在使用される薬剤では耐性ウイルスの出現頻度も非常に低く、長期にわたり比較的安全にウイルス抑制療法を続けることが可能です。
抗ウイルス療法によってウイルス量を抑え込むことで、慢性肝炎から肝硬変への進行や肝がん発生リスクを大幅に減らすことができます。

早期発見のポイント

B型肝炎は症状が出ないことも多いため、ウイルス感染を早期に発見するには血液検査が有効です。
最も基本となるのはHBs抗原検査で、血液中のHBs抗原を調べることで現在HBVに感染しているかを確認します。
HBs抗原が陽性であれば体内でHBVが増殖しており、現在感染していることを意味します。
一方、陰性であれば(ごく初期の感染やキャリアの特殊な場合を除き)HBV感染は否定されます。
加えて、過去の感染や免疫の有無を調べるHBs抗体やHBc抗体の検査、慢性B型肝炎の活動性をみるHBe抗原・HBe抗体の検査、ウイルス量を測定するHBV-DNA検査などが行われます。
これらの血液検査に加えて肝機能を見るAST(GOT)・ALT(GPT)値の測定も重要です。
肝炎が起こるとこれら肝酵素が上昇するため、定期健診などで肝機能異常を指摘された際にはB型肝炎ウイルスの検査を受けることが推奨されます。

予防の基礎知識

ワクチンによる予防

B型肝炎を予防する最も効果的な方法はワクチン接種です。
B型肝炎ワクチンを適切に接種すると体内にHBs抗体が作られ、B型肝炎ウイルスが体内に入ってきてもウイルスを排除して発症を防ぐことができます。
実際にワクチン接種により95%以上の接種者で抗体が産生され、長期にわたり感染予防効果が持続するとされています。
HBs抗体が陽性であれば、仮にB型肝炎ウイルスが侵入しても感染は成立しません。
この効果はウイルスのタイプに関係なく有効であり、性交渉による感染も防ぐことができます。
日本では1986年よりB型肝炎ウイルスキャリアの母親から生まれる新生児への母子感染予防策としてHBIGとワクチンの併用投与が開始され、適切に実施すれば出生時の感染をほぼ完全に防げることが明らかになりました。
さらに2016年10月からはB型肝炎ワクチンが定期予防接種に組み込まれ、全ての乳児が公費で計3回のワクチン接種を受けられるようになっています。
この定期接種により乳幼児期の水平感染も含めたB型肝炎ウイルス感染の一層の減少が期待されています。
B型肝炎ワクチンは小児だけでなく、過去に接種を受けておらずB型肝炎ウイルスに免疫のない成人にも有効です。
特に医療従事者やB型肝炎ウイルスキャリアと同居する家族など、血液に触れる機会が多い方は事前にワクチン接種を受けて抗体を獲得しておくことが強く推奨されます。

日常生活での注意点

日常生活では、次のような点に注意しましょう。

  • 他人の血液が付着している可能性のある歯ブラシやカミソリは共用しないようにします。
    微量の血液でも粘膜や傷口から侵入すれば感染する恐れがあるため、自分専用のものを使用してください。
  • 怪我人の手当てなどで他人の血液に触れるときは必ず手袋を着用し、皮膚の直接接触を避けます。
    血液の付着した布やごみ処理を行う際も同様です。
    医療行為以外で注射器や注射針を他人と共有しないでください。
    特に違法薬物の静脈注射はB型肝炎ウイルス感染のみならず重大な健康被害を招く行為であり、絶対に行ってはいけません。
  • 不特定の相手との性的接触時にはコンドームを使用するようにしましょう。
    B型肝炎ウイルスは精液や膣分泌液にも含まれるため、コンドームによる防護で感染リスクを大幅に減らせます。

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