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冬のお風呂は危険?!

【大阪/梅田】大阪駅前の総合内科クリニック|西梅田シティクリニックがお届けする健康情報。
是非、みなさまの健康管理にお役立てください。

冬場に多く起こる「入浴事故」。
これは入浴中に意識を失い、そのまま浴槽内で溺れて亡くなる不慮の事故で、年間約19,000人の人が亡くなっていると推計されています。
交通事故による死亡者数の約7倍も多いのです。
入浴事故は、急激な温度変化による「ヒートショック」の影響が大きいとされています。

ヒートショックとは?

ヒートショックとは、暖房が効いた暖かい部屋から冷え込んだ脱衣所や浴室、トイレなど温度差の激しいところへ移動したときに身体が急激な温度変化にさらされたことによって血圧が乱高下してしまう健康被害です。
血圧の乱高下に伴って、脳内出血や大動脈解離、脳梗塞、心筋梗塞など、心臓や血管の疾患を引き起こしてしまいます。

このような急激な血圧の変化によって脳に血液が回らず、貧血状態となり、一過性の意識障害を起こすことがあります。
これが入浴事故へと繋がるのです。

【症状と対処法】

軽度症状立ちくらみ、めまい
対処少し休めば治ることがほとんどです。
その場にしゃがむか、できれば横になって気分が落ち着くまで安静にしましょう。
重度症状頭痛、嘔吐、脱力、意識障害⇒脳梗塞、心筋梗塞の恐れ
対処なるべく動かさないようにしてすぐに救急車を呼びましょう。
湯船で溺れていた場合には浴槽から出すかお湯を抜いて助けを待ちましょう。

症状が軽い場合には体勢を低くし、気分が落ち着くまで安静にしましょう。
立ったままの状態でいたり、無理に動こうとすると転倒や失神の恐れがあり危険です。
重症の場合には命に関わる病気を引き起こしている可能性があるため、迷わず救急車を呼びましょう。

ご家族と暮らしている方は、入浴前後に声をかけるようにしましょう。
一人暮らしの方は浴室のそばに携帯電話を置いておき、万が一のときにはすぐに助けを求められるようにしておくと安心です。

 血圧とは

血圧の乱高下によって起こるヒートショックですが、そもそも血圧とはどういうものなのかご存じでしょうか?

血液は、心臓がポンプのようなはたらきをすることで全身へと送り出されます。
酸素や必要な栄養分を身体全体へと運び、二酸化炭素や老廃物を回収するのです。
このときに加えられる圧力(動脈の内側を押す力)を血圧といいます。

暖かい部屋から冷え込んだ部屋へ移動した際に血管が急激に収縮するのは、体温を外へ逃がさないようにするための生理的な現象です。
このとき、縮んで細くなった血管に血液を流そうとして、心臓は大きな力で血液を送り出そうとするため、必然的に血圧は上がってしまうのです。
血管が拡がると心臓は小さな力で血液を送り出すことができ、血圧は下がります。

このように、急激な温度変化は心臓や血管に大きな負担をかけてしまうのです。

ヒートショックを起こしやすい人

以下の点に当てはまる人はヒートショックを起こしやすいため注意が必要です。

  • 65歳以上である
  • 高血圧、糖尿病、動脈硬化などの持病がある
  • 特定の基礎疾患(肥満、不整脈、無呼吸症候群)がある
  • 脱衣所や浴室に暖房設備がない
  • 一番風呂や熱めのお風呂が好き
  • 食後や飲酒後にお風呂に入る
  • 長風呂が好き

ヒートショックを起こさないために

ヒートショックを起こさないための対策として、以下のようなことが挙げられます。
できることから取り組んでヒートショックを防ぎましょう。

  • 脱衣所や浴室を暖める
  • 湯船の温度は38~41℃にし、長湯は避ける
  • 入浴前後に水分を摂る
  • 食後30分~1時間経ってから入浴する
  • 浴槽から急に立ち上がらない
  • 入浴前に足元からかけ湯をし、身体を徐々に温める

 こんなときは入浴を控えましょう

  • 体調が悪いとき
    体調が悪いときに入浴すると体調が更に悪化してしまう可能性があります。
    少しでも体調が悪いと感じる場合は無理をせず入浴を控えましょう。
     
  • 食後・飲酒後すぐ
    食後や飲酒後は血液が消化管に集中し血圧が下がりすぎることがあります。
    その状態で入浴をすると血圧が急上昇し、血圧の変動が大きくなるためヒートショックの危険性が高まります。
    また、アルコールは血管を拡張する作用があり、飲酒後は血圧が低下しやすくなります。
    転倒の可能性もあるため、食後・飲酒後の入浴は避けましょう。
     
  • 医薬品(精神安定剤、睡眠剤)の服用直後
    薬の作用によって転倒しやすくなってしまいます。
    服用直後の入浴はたいへん危険なため控えましょう。

冬のお風呂を安全に楽しむために

寒い季節には欠かせない温かいお風呂。
湯船に浸かることで冷えた身体が温まり、疲労回復効果も期待できます。
しかし、寒い季節の入浴には「ヒートショック」という命に関わる危険性が潜んでいるのです。

「若いから大丈夫!」「元気だから大丈夫!」
そう思って安心してはいませんか?

気温差に影響される血圧の変化は年齢に関係なく、誰にでも起こりうる現象です。
ヒートショックは10度以上の温度差がある場所を行き来すると発生しやすいとされています。
今流行りのサウナや、家と外との出入り、起床時に布団から出たときなどでもヒートショックの危険性があるのです。
自分にも起こるかもしれない、と思い、普段から身体が急激に冷えることがないよう意識することが大切です。

少しでも体の異変や違和感を感じたら、いつでも西梅田シティクリニックまでお越しください。

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