麻疹の予防接種を受けてない世代とは?予防接種を受けたか調べる方法も解説
「職場で麻疹の話題が出たけれど、自分は予防接種を受けたっけ?」——そんな不安を抱えていませんか。
母子手帳が手元になかったり、記憶が曖昧だったりすると、判断に困ってしまうものです。
実は日本には、制度の変遷により予防接種が不十分なまま大人になった「空白世代」が存在します。
本記事では、未接種の可能性が高い世代の見分け方から、接種歴の確認方法、追加接種の判断基準までをわかりやすく整理してお伝えします。
麻疹の予防接種を受けてない世代とは?

麻疹の予防接種の回数は、生まれた年代によって大きく異なります。
ここでは、生年月日に基づく4つの世代に分けて、予防接種の受診状況や免疫の傾向を解説します。
受けてない可能性が高い世代
1972年(昭和47年)9月30日以前に生まれた世代は、麻疹ワクチンの定期接種が導入される前だったため、未接種の人が最も多い世代です。
この世代の多くは過去に自然感染して免疫を獲得していますが、感染したことがない場合は抗体を持っておらず、麻疹にかかるリスクが極めて高くなります。
なお、女性の一部は中学生の時に風疹単体ワクチンの集団接種を1回受けています。
1回のみ受けた可能性が高い世代
1972年(昭和47年)10月1日〜1990年(平成2年)4月1日生まれの世代は、幼少期に麻疹ワクチンの定期接種を、1回のみ受けた可能性が高い世代です。
1回接種では十分な免疫がつかなかったり、時間の経過とともに免疫が低下(減衰)したりすることがあり、現在の麻疹感染拡大の主要な要因の一つとされています。
個人差が大きい世代
1990年(平成2年)4月2日〜2000年(平成12年)4月1日生まれの世代は、接種状況に個人差が大きい世代といえます。
この世代は幼少期に1回定期接種を受け、さらに中学1年生または高校3年生の時に「特例措置」として、追加接種を受ける機会がありました。
両方受けていれば2回接種となりますが、追加接種を受けなかった人も多く、免疫の保有状況に大きな個人差があります。
2回接種の機会がある世代
2000年(平成12年)4月2日以降生まれの世代は、2回接種の機会が制度として整っている世代です。
2006年4月からMRワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)の2回接種が定期接種に導入され、1歳児(第1期)と小学校入学前の年長児(第2期)に、接種を受ける仕組みが確立されました。
スケジュールどおりに接種を受けていれば、麻疹に対して十分な免疫を獲得できている可能性が高い世代です。
ただし、接種漏れなどによる未接種者や、1回接種の人が一部存在するため注意が必要です。
麻疹の予防接種を受けてない世代が生まれた理由

日本で麻疹の予防接種が不十分な「空白世代」が生まれた背景には、予防接種制度の度重なる変更や、社会的な出来事が関係しています。
ここでは「空白世代」が生まれた主な要因を順番に解説します。
1972年9月30日以前は任意接種だったため
1972年9月30日以前に生まれた方が未接種である主な理由は、当時の麻疹ワクチンが任意接種だったためです。
日本で麻疹ワクチンが承認されたのは1966年で、希望者のみが自費で受ける任意接種として始まりました。
当時は費用負担や接種への認知度の低さから接種率が伸びず、数年おきに麻疹の流行が繰り返されていた時代です。
結果的に自然感染で免疫を獲得した人も多く、ワクチン未接種でも抗体を持つケースが一定数存在するとされています。
MMRワクチン(3種混合)の副反応問題による接種控えの影響
1989年から1993年にかけて、日本では麻疹・おたふくかぜ・風疹のMMRワクチン(3種混合)が導入されました。
しかし、おたふく風邪ワクチンによる無菌性髄膜炎の副反応が多発したため、1993年4月にMMRワクチンの接種が停止された経緯があります。
この問題を受けてワクチン全般への不信感が社会に広がり、MMR中止後も麻疹単独ワクチンの接種を控える動きが続きました。
結果として、1990年前後に幼少期を迎えた世代に未接種者や1回のみ接種の方が多く存在する状況が生まれています。
集団接種から個別接種への移行|努力義務化による接種率の低下
1994年の予防接種法改正も、接種率低下の要因として無視できません。
この改正によって、麻疹を含む定期接種は「義務接種」から「勧奨接種(努力義務)」へ位置づけが変更されました。
同時に、学校などで一斉に行う集団接種から、保護者が医療機関へ個別に連れていく個別接種へ移行しています。
接種の判断が各家庭に委ねられた結果、受け忘れや未接種のまま大人になる方が増加しました。
この制度変更が、1990年代に幼少期を過ごした世代の接種ムラを生む一因となっています。
2回接種の制度化が遅かったため(2006年4月~)
麻疹の定期接種に2回接種が導入されたのは2006年4月からで、諸外国と比べて制度化が遅れていました。
それ以前は1回接種が標準だったため、2005年以前に幼少期を過ごした方の多くは1回接種にとどまっています。
1回接種では約5%の方が十分な免疫を獲得できず、年数の経過とともに抗体価が低下するリスクも指摘されてきました。
この制度化の遅れを補うため、2008年から5年間、中学1年生と高校3年生を対象とした補足的接種が実施された経緯もあります。
麻疹の予防接種を受けたか調べる方法

自分が麻疹の予防接種を受けたかどうかを確認する方法は、大きく分けて2つあります。
記録を辿る方法と、体内の免疫状態を調べる方法です。
どちらも確実性や費用、手軽さが異なるため、状況に応じた使い分けが重要になります。
ここでは、2つの方法それぞれの具体的な手順と特徴を整理して解説します。
母子健康手帳で接種歴を確認する
最も手軽で確実な方法は、母子健康手帳での接種歴の確認です。
母子手帳には予防接種の記録欄があり、接種日・ワクチン名・医療機関名が記載されています。
実家に保管されているケースが多いため、親御さんに問い合わせて確認してみるとよいでしょう。
手帳が見つかれば、麻疹ワクチンやMRワクチンの接種回数が一目で把握できます。
ただし紛失している場合は記録の復元が難しく、接種を行った自治体や医療機関に問い合わせても確認できないケースが大半です。
医療機関で血液検査(抗体検査)を受ける
母子手帳が見つからない場合は、医療機関で抗体検査を受ける方法が有効です。
少量の採血で麻疹ウイルスに対する抗体価を測定し、免疫が十分にあるかを客観的に確認できます。
抗体価が基準を上回っていれば追加接種は不要と判断され、不足していれば予防接種の検討材料となります。
費用は医療機関によって異なりますが、一般的に数千円程度で、原則自費診療です。
自治体によっては助成制度を設けている場合もあるため、お住まいの市区町村に確認してみてください。
麻疹の予防接種を受けてないか不明なときの対応

母子手帳が見つからず、接種歴も感染歴も分からないケースは少なくありません。
このような状況では、個人の判断だけで対応を決めるのではなく、状況ごとに適切な行動を取ることが重要です。
ここでは、3つの代表的なパターンに分けて、取るべき対応と優先すべき選択肢を整理して解説します。
麻疹の感染歴がなく未接種なら医師に相談する
麻疹の感染歴がなく接種歴も不明な方は、自己判断を避けてまず医師に相談することが大切です。
麻疹は感染力が極めて強く、免疫のない人が感染者と接触するとほぼ100%発症するとされています。
医師に相談すれば、年齢・職業・渡航予定などを踏まえたうえで、抗体検査を先に行うか、直接ワクチン接種に進むかを判断してもらえます。
抗体を持つ方がワクチンを接種しても副反応が強まることはないため、検査を省略して接種を選ぶケースも実際には多くみられます。
2回接種していない人は追加接種を検討する
接種歴を確認した結果、2回接種が完了していない方は追加接種の検討が推奨されます。
麻疹ワクチンは1回接種で約95%、2回接種で97〜99%以上の方が免疫を獲得できるとされ、確実な予防には2回接種が国際的な標準です。
日本でも2回接種率95%以上を維持することが麻疹排除の条件とされており、公衆衛生上の観点からも重要視されています。
1回のみ接種の方や接種歴が不明な方は、追加で1回接種を受けることで免疫を強化でき、発症や重症化のリスクを下げられます。
海外渡航前や医療介護教育職は特に確認が重要
海外渡航を予定している方や、医療・介護・保育・教育に従事する方は、接種歴の確認を特に優先してください。
近年の国内麻疹感染例は海外から持ち込まれる「輸入麻疹」が多くを占め、渡航先で感染するリスクが指摘されています。
また、不特定多数の人と接する職種では、自身が感染した場合に職場や利用者へ広げてしまう恐れがあるため、2回接種の完了が強く推奨されます。
渡航や就業の前に医療機関で抗体検査や追加接種を済ませておくことが、周囲への責任ある対応といえます。
麻疹の予防接種を受けていない場合の接種回数とスケジュール

追加接種を検討する際、何回接種すべきか、どのくらい間隔を空けるべきかは多くの方が迷うポイントです。
接種回数やスケジュールは、これまでの接種歴や年齢によって適切な選択肢が変わります。
ここでは、2回接種が推奨される理由から実際の接種タイミングの目安までを、具体的に整理して解説します。
基本は2回接種が推奨されている理由
麻疹ワクチンで2回接種が推奨される理由は、免疫獲得率と免疫の持続性を確実にするためです。
1回接種では約95%の方が免疫を獲得できますが、残り約5%は十分な抗体が得られないと報告されています。
2回接種を行うことで、1回目で免疫を獲得できなかった方のほとんどがカバーされ、免疫獲得率は約99%まで高まります。
加えて、年数の経過による免疫低下を補う効果も期待できるため、日本を含む多くの国で2回接種が標準的な予防法として位置づけられています。
1回のみ接種済みの場合の追加接種の考え方
1回のみ接種済みの方は、もう1回の追加接種を受けることで2回接種が完了します。
すでに1回接種で免疫を獲得している方がほとんどのため、追加接種は免疫の強化や持続を目的とする位置づけです。
抗体検査で免疫が十分と確認できれば追加接種は不要ですが、検査の手間や費用を考えると、検査を省略して直接2回目の接種を受ける選択も合理的といえます。
接種間隔とタイミングの目安
2回接種を新たに行う場合、1回目と2回目の間隔は4週間以上空けることが目安とされています。
麻疹ワクチンは生ワクチンのため、十分な免疫反応を引き出すには一定の期間が必要です。
1回目の接種で免疫が形成される過程で2回目を受けることで、より強固な抗体が得られます。
接種のタイミングは、海外渡航や就職の予定があれば少なくとも1〜2か月前までに1回目を済ませておくと安心です。
なお、妊娠を予定している女性は、接種後2か月間は避妊が必要な点にも注意してください。
麻疹の予防接種に関するよくある質問

麻疹の予防接種を検討する際には、細かな疑問が次々と浮かびやすいものです。
特に成人になってから接種を考える方は、判断材料が不足していると感じるケースが多くみられます。
ここでは、読者から寄せられやすい4つの疑問に対して、公的情報に基づいた回答をコンパクトに整理してお届けします。
母子手帳がないと接種歴はわからない?
母子手帳がない場合、接種歴を正確に把握することは難しいのが実情です。
自治体や医療機関では予防接種の記録を長期間保存していないケースが多く、過去の接種歴を遡って確認できないことがほとんどです。
接種歴が確認できない場合でも、医療機関で抗体検査を受ければ、現在麻疹に対する免疫があるかどうかを知ることができます。
抗体価が基準以上あれば十分な免疫があると判断でき、不足していれば予防接種を受けることで対応可能です。
抗体検査を受けてから予防接種したほうがよい?
接種歴が不明な場合、抗体検査を受けた後、必要に応じて予防接種を受けることも可能ですが、検査を省略して直接予防接種を受けても問題ありません。
日本小児科学会などは、接種歴が不明な場合には任意でのワクチン接種を検討することを推奨しています。
大人でも麻疹の予防接種は受けられる?
大人でも麻疹の予防接種は問題なく受けられます。
年齢の上限は設けられておらず、接種歴が不十分な方や免疫が不足している方は、何歳であっても追加接種の対象となります。
使用されるワクチンは主にMRワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)で、麻疹と風疹の両方を同時に予防できる点もメリットです。
原則として自費での「任意接種」となりますが、自治体によっては成人向けの助成制度を設けている場合もあるため、お住まいの自治体窓口で確認してみてください。
過去に1回受けていれば安心といえる?
過去に1回接種を受けていても、安心とは言い切れません。
1回接種での免疫獲得率は約95%で、残り約5%の方は十分な抗体を獲得できていない可能性があります。
また、年数の経過とともに免疫が低下し、麻疹ウイルスに曝露された際に軽症の「修飾麻疹」を発症するケースも報告されています。
確実な予防には2回接種が推奨されており、1回のみの方は追加接種で免疫を強化するのが望ましい選択です。
麻疹の予防接種を受けてないと分かったら早めに対策を取ろう!

本記事の要点を以下に整理します。
- 1972年9月30日以前に生まれた方は定期接種の機会がなく、未接種の可能性が高い
- 1972年10月〜1990年4月生まれの方は1回接種にとどまっている可能性が高い
- 1990年〜2000年生まれの方は接種状況に個人差が大きく、母子手帳や抗体検査での確認が必要
- 接種歴を調べる方法は、母子健康手帳の確認と医療機関での抗体検査の2つが中心
- 確実な予防には2回接種が推奨されており、1回のみの方や未接種の方は追加接種の検討が望ましい
麻疹は感染力が極めて強く、免疫を持たない方が接触するとほぼ確実に発症する感染症です。
自分がどの世代に該当するかを把握し、母子手帳や抗体検査で接種歴を確認することが、発症と重症化を防ぐ第一歩となります。
特に海外渡航を予定している方や、医療・介護・教育に従事する方は、早めに医療機関へ相談し、必要に応じて追加接種を受けてください。
正しい知識と適切な行動が、あなた自身と周囲の大切な人を守ることにつながります。
麻疹ワクチンをご検討の方へ
麻疹は感染力が非常に強く、発熱、咳、鼻水、結膜充血などの症状が出たあと、全身に発疹が広がる感染症です。重症化することもあり、予防にはワクチン接種が重要です。麻疹にかかったことがない方や、ワクチン接種歴がはっきりしない方、周囲で流行が気になる方は、一度確認しておくと安心です。
当院では、麻疹ワクチンに関するご相談に加え、接種歴の確認や、接種が適しているかどうかについてもご案内しています。年齢やこれまでのワクチン歴、現在の体調などをふまえてご相談いただけます。
麻疹ワクチンをご検討中の方は、下記ボタンから当院のワクチンの詳細を一度ご覧いただき、接種をご検討ください。

赤松 先生
「患者様ファースト」に徹底した医療マインドを持ち、内科診療にとどまらず健診センターや複数のクリニックを運営。 医療の敷居を下げ、忙しい方々にも医療アクセスを向上させることを使命とし、さまざまなプロジェクトに取り組む。


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