PIT療法とは?ヘルペス治療の新しいアプローチ
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ヘルペスは一度感染すると体内に潜伏し、ストレスや疲労などをきっかけに繰り返し再発するという特徴を持つウイルス感染症です。再発を繰り返す人にとって、症状が現れるたびに医療機関を受診して薬をもらうのは大きな負担となります。こうした課題に対応するために登場したのが「PIT療法(Patient Initiated Therapy:患者主導治療)」です。
本記事では、PIT療法の基本概念、使用される薬剤、従来治療との違い、さらにオンライン診療の利点について解説します。
ヘルペスの原因と症状
ヘルペスは単純ヘルペスウイルス(HSV)や水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)によって発症します。単純ヘルペスは口唇や性器周囲に繰り返し水ぶくれを作り、強い痛みや違和感を伴います。一方、帯状疱疹は過去に水痘(水ぼうそう)にかかった人の体内に潜伏していたウイルスが、免疫力の低下をきっかけに再活性化して起こります。
初期症状の特徴
単純ヘルペスの再発では「チクチク」「ピリピリ」といった違和感が前兆となり、その後赤みや小さな水疱が出現します。早期に治療を開始できるかどうかで、症状の強さや治癒期間が大きく変わります。
再発の原因
再発を引き起こす要因としては、強い紫外線曝露、過労や睡眠不足、風邪などで免疫が落ちている時期、ホルモン変動、精神的ストレスなどがあります。
PIT療法の基本概念
PIT療法(Patient Initiated Therapy)は、再発を繰り返す単純ヘルペスに対して用いられる新しい治療戦略です。
- 患者が初期症状(チクチク、ピリピリなど)を自覚した段階で、自ら抗ウイルス薬を服用する
- 水ぶくれが出る前にウイルスの増殖を抑え、症状を軽減し、治癒までの期間を短縮する
- 繰り返し再発に悩む患者の生活の質(QOL)を改善する
日本でPIT療法に使われる薬剤は以下の2種類です。
ファムビル(ファムシクロビル)
初期症状が出てから6時間以内に1回、その12時間後にもう1回、計2回服用します。年3回以上再発する場合に処方対象となることが多い薬です。
アメナリーフ(アメナメビル)
初期症状から6時間以内に、食後1回だけ服用します。追加服用の必要がないため利便性が高く、再発回数に制限なく使用できます。
対象者
PIT療法は、特に以下のような方が対象になります。
- 再発を繰り返す単純ヘルペスに悩んでいる人
- 再発時に現れる初期症状(チクチク・ピリピリなど)を自分で判断できる人
従来治療法との違い

従来のヘルペス治療では、症状が出てから医療機関を受診し、抗ウイルス薬を数日間継続服用する流れが一般的でした。しかし、この方法では発疹や痛みがすでに出てしまっているため、症状の重さや治癒までの時間に差が生じやすいという問題がありました。
一方PIT療法では、患者が自己判断で服薬を開始できるため、ウイルスの増殖初期に治療を開始できます。その結果、発症自体を抑える、あるいは症状を最小限にとどめることが可能になります。
PIT療法の効果と治療法
PIT療法の目的は、発症を未然に抑え、症状を軽くし、再発による生活への影響を最小限にすることです。
- 発症抑制と症状軽減:水ぶくれが広がる前にウイルスの活動を止める
- 治癒期間の短縮:通常より早く皮膚症状が収束する
- 精神的ストレスの軽減:見た目や痛みの負担が減り、QOL(生活の質)向上につながる
効果が出るまでの時間
早期に服薬できれば数日以内に改善がみられることが多く、従来の治療より短期間で症状が落ち着くケースが報告されています。
費用と保険適用
PIT療法に用いられる薬剤は医師の処方に基づき保険診療が可能です。費用は薬の種類や処方日数によって異なりますが、自己負担は一般的な抗ウイルス薬治療と同程度です。
PIT療法におけるオンライン診療の利点
PIT療法はオンライン診療との相性が良く、自宅や外出先からでも気軽に受診できます。症状が出た際にすぐ相談できるため、再発を繰り返す方にも安心です。
医師の診察を経て処方されるため、安全性も確保されています。また、オンライン予約から診察、薬の配送まで一貫して行えるため、通院が難しい方にも便利です。
詳しくは西梅田シティクリニックのオンライン診療をご覧ください。
PIT療法を含む治療選択肢
PIT療法は再発型単純ヘルペスに有効ですが、それ以外にも治療の選択肢があります。
- 従来の抗ウイルス薬内服(バルトレックス、ゾビラックスなど)
- 点滴治療(重症例や免疫力が低下している場合)
- 生活習慣改善による再発予防(十分な睡眠、ストレス管理、紫外線対策)
バルトレックスとの違い
バルトレックス(バラシクロビル)は従来から広く使われている薬ですが、PIT療法に特化していないため、初期段階での単回内服による即効性はアメナリーフやファムビルに比べて劣ります。
Q&A:PIT療法のよくある質問
アメナリーフは帯状疱疹にも使えますか?
帯状疱疹では一般的に7日間の連日服用が必要です。単純ヘルペスの再発抑制と異なり、短期単回投与では効果が不十分なため、医師の指示に従いましょう。
PIT療法が効かない場合は?
初期段階を逃して服薬した場合は効果が弱まることがあります。その場合は従来の治療法へ切り替え、早期に受診することが重要です。
薬剤師に相談するタイミングは?
副作用や併用薬の心配がある場合は必ず相談してください。特に腎機能に影響のある患者では用量調整が必要になることがあります。
PIT療法の導入を考える方へ
PIT療法は、再発型単純ヘルペスに悩む人にとって、生活の質を大きく改善できる新しい治療法です。ただし、自己判断だけで続けるのではなく、医師の診断・処方のもとで適切に行うことが不可欠です。
- メリット:発症抑制、短期治癒、QOL改善、受診回数の減少
- デメリット:自己判断による服薬リスク、初期症状の見逃し
- 医師選び:皮膚科・婦人科・内科でPIT療法に対応しているかを確認することが大切です。
まとめ
ヘルペスは「うつる」感染症であり、一度感染すると再発を繰り返す厄介な特徴を持ちます。PIT療法は、初期症状の段階で患者自身が速やかに治療を始めることで、発症や重症化を防ぎ、生活への影響を最小限に抑える革新的な方法です。ファムビルとアメナリーフという2種類の薬剤を中心に、医師と連携しながら正しく活用することが重要です。再発を繰り返す方は、オンライン診療も含め、PIT療法という新しい選択肢を検討してみてください。


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